人間の皮膚にあるセラミドにはセラミド1、セラミド2、セラミド3などと数字が割り当てられており、11種類が存在するといわれています。
それぞれに少しずつ性質や役割が異なり、その量やバランスによっても肌の保湿力が違ってきます。
ここでは各セラミドの特徴を見ていきながら、どのように補えば効果的に肌が潤うのかを紹介していきます。
1.セラミドの上手な取り方
セラミドはサプリメントとして内側から、化粧品として外側から補うことができます。
両方をうまく使用して併用することで、セラミドのパワーを最大限に受けることができます。特に肌が乾燥しがちな人は化粧品とサプリメントの両方を試してみることをお勧めします。
結論からお伝えすると化粧品ではセラミド1、セラミド2、セラミド3のいずれかが配合されているものを選びましょう。
サプリメントではグルコシルセラミドを1日120mg~180mg摂取できるものを選びます。
2.セラミドの働き
2-1.セラミド1の働き
セラミド1は外部の刺激から肌を守るバリア機能があります。アトピーではこのセラミド1が不足して、刺激に反応しやすくなっているといわれています。
年齢とともにセラミド1が減ってセラミド4とセラミド5が増えます。このようにセラミドの構成の比率がかわるために保水機能が低くなるという報告もあります。
出典:角層の保水機能と皮表および角質細胞間脂質の加齢による変化 冨樫 きょう子
2-2.セラミド2の働き
セラミド2はセラミドのなかでもっとも保湿力が高く、肌にもっとも多く含まれています。
老人性乾皮症ではセラミド2とセラミド7が増えてセラミド6が減少しているという報告もあります。
合成されたセラミド2を肌に塗ることでアトピーの水分蒸発量(バリア機能)をヘパリン類似物よりも改善するという報告もあります。
出典:老人性乾皮症患者における角層細胞外脂質の量的・質的変化の検討 山中ら
出典:アトピー性皮膚炎患者に対する合成擬似セラミド含有クリームの有用性の検討 水谷ら
2-3.セラミド3の働き
セラミド3は保湿力が高く、減少するとシワが目立つようになります。
バリアの再生を助けて水分のバランスを整えてくれるセラミドです。
セラミド3を補うことでアトピーの乾燥が改善されることも報告されています。
3.化粧品に入っているセラミド
化粧品にセラミド1、セラミド2、セラミド3と表記があったらそれは酵母菌の発酵と一部合成よってつくられたヒト型セラミド(バイオセラミド)のことです。
その他に化粧品に入っているセラミドには天然セラミド、植物性セラミド、合成セラミドがあります。
- 天然セラミド・・・馬などの動物性由来のセラミドで人の肌へのなじみがよく高価ですが効果の期待できるセラミドです。
- バイオセラミド・・・酵母菌による発酵によってつくられるセラミドでヒトのセラミドと形が同じものをつくれることからヒト型セラミドとも呼ばれています。
- 植物性セラミド・・・米やこんにゃく、パイナップル、ビートなどから抽出されるセラミドです。セラミドの前駆体であるグルコシルセラミドとして配合されています。
- 合成セラミド・・・セラミドに似た形のものを化学的に合成して作ります。比較的安価につくられるため化粧品に多く配合されています。
セラミドで肌のカサカサ撃退!つるり肌になるためのセラミドの使い方にも詳しくまとめています。
4.サプリメントに入っているセラミド
サプリメントに入っているセラミドは 植物性セラミドです。
安全性を担保するため合成のセラミドは現在のところ使用されません。
植物性セラミドはグルコシルセラミドでセラミドに糖がくっついた形をしています。実はグルコシルセラミドは私たちは食品中から毎日20~70mgほど摂取しています。しかしその利用率は1%以下ととても少なく腸管での吸収がされにくいようです。
サプリメントなどに含まれている乳化されたセラミドは利用率が高く、腸管からよく吸収されて体内でスフィンゴイドとなります。このスフィンゴイドが肌のセラミド量を増やしたり、繊維芽細胞を活性化させる働きがあります。
セラミド1.2~1.8mgを3~12週間飲むことで肌水分の蒸散が抑えられ、肌のうるおいが保たれます。
セラミド配合のサプリで肌のうるおいをキープする6つの方法にも詳しくまとめています。
5.セラミドがうるおいを保つ仕組み
化粧品に含まれるセラミドは肌の表面に塗られると、角層にあるときは肌から水分が蒸散するのを防いでくれます。
これはセラミドの水をはじく性質を利用して、肌表面にバリアを作って保水するという仕組みです。
一方、サプリメントに含まれるセラミドは腸管から吸収されたあと、体内でスフィンゴイドに変換されて体内をめぐり、セラミドの量を増やしたり、真皮の繊維芽細胞を活性化させると考えられています。
これらを両方同時に行うことでよりセラミドのもっている私たちへの力を受け取ることができます。
6.セラミドとアトピー
アトピー性皮膚炎のひとはセラミドを分解する酵素(グルコシルセラミドデアシラーゼ、スフィンゴミエリンデアシラーゼ)が通常のひとに比べると活発で、セラミドの代謝過程でひとつずれて別の物質に置き換わってしまっています。そのため通常のひとより肌のセラミド量が少なくなっています。
このときできたセラミドの分解物(グルコシルスフィンゴシン、スフィンゴシルホスホリルコリン)は保水力がセラミドに比べて低いため、バリア機能が低くなってしまうのです。
アトピーに対してグルコシルセラミドをサプリメントとして補うことでもSCORADindexというアトピーの指標が改善することが報告されています。
また合成疑似アシルセラミドを塗ることでダニ抗原に対するアレルギー反応が誘発されなくなることも報告されています。
出典:こんにゃくセラミドの最新情報 向井克之
出典:セラミドの皮膚への効果と応用 芋川玄爾
7.セラミドの未来
セラミドは肌での保湿機能やバリア機能が高く、医薬品や化粧品や健康食品の分野でまだまだ新しい成果の期待がされています。
化粧品やサプリメントとして取り入れることで、セラミドのメリットを受けて美しい肌を手に入れるようにしましょう。
まとめ
セラミドをどのように補えば効果的に肌が潤うのかを紹介しました。
化粧品ではセラミド1、セラミド2、セラミド3のいずれかが配合されているものを選びましょう。サプリメントではグルコシルセラミドを1日120mg~180mg摂取できるものを選びます。