PMSピーエムエスって?月経前に起こるツライ症状を緩和する9対策

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生理前に頭痛がする、眠くなる、憂鬱になるなどの症状がある人は月経前症候群(PMS)かもしれません。
中には月の半分をこの症状に苦しんでいる人もいます。
PMSとはどんなものなのでしょうか?いまさら周りに聞けない基本的なこと、実は勘違いしていたことなどあるかもしれません。そこで今回はPMSの原因や症状、つらさを緩和する方法を提案します。



1.月経前症候群 PMSとは?

月経前症候群(PMS:Premenstrual Syndrome)とは生理前の高温期における体の不調の総称です。
大体生理が始まる3~10日ほど前に、疲れ、だるさ、頭痛、便秘、ニキビなどの体に現れる症状や、無気力、不安感、落ち込み、いらいらなど精神的な症状が現れます。
そして、これらは月経が始まったり、終わったりすると自然に治ります。
女性には毎月の試練ですよね。
これらが起こる原因は残念ながらはっきりとわかっていませんが、女性ホルモンが関わっていることはわかっています。
月経前に不快を感じることがある人は約85~90%にも及びます。日本国内の女性は6500万人程度で、そのうち月経のある年代の15歳から49歳は2650万人程ですので、2人に1人はPMSを体験しているのではないかと言われているのです。

PMSの画像

2.PMSの症状

月経が始まる前というのは心も体も不安定になっています。
症状としては
頭痛・腰痛・乳房がはれる・ニキビ・むくみ・便秘下痢・睡眠欲・ゆううつ・無気力・不眠・集中力低下・悪夢を見る・吐き気…など多岐にわたります。

女性の画像

photo credit: Moi par Chloé via photopin (license)

あなたの症状がPMSかどうか調べるにはPMSセルフチェックリスト|まずは自分で調べよう!を参照してください。

3.PMSの原因は?

PMSの原因ははっきりとは解明されていませんが、ビタミンやミネラルの欠乏やホルモンの影響ではないかと言われています。

3-1.PMSに影響を与えるホルモンって?

女性ホルモンには
主に卵胞から分泌される「エストロゲン(卵胞ホルモン)」
主に黄体から分泌される「プロゲステロン(黄体ホルモン)」
があります。
これらのホルモンは、一定した周期で分泌されて体に作用します。

 エストロゲンは

女性らしい体を作りだすホルモンで、子宮に作用し、妊娠に備えて子宮の内膜を厚くします。エストロゲンの分泌が多い時期を卵胞期といい、女性にとって体調の良い時期を指します。

 プロゲステロンは

妊娠を助け、妊娠したあとは妊娠を継続させる働きがあります。プロゲステロンの多い時期は黄体期とよばれ、体内に水分を余分に貯蓄しようとするので人によってはむくみがでたり、精神的に不安定な時期となります。

生理前二週間はプロゲステロンの最盛期にあたり、PMSの原因にはこのプロゲステロンが関与していると考えられています。いつからいつまでがPMSにあたるのかはPMSの症状っていつからいつまで?PMSの期間の話をご覧ください。月経周期の画像

しかしプロゲステロンが、分泌されている女性が皆、PMS症状に悩まされているのかというとそうではありません。
では症状の出る人はどんなタイプの人なのでしょうか?

4.PMSになりやすい人とは?

PMS症状になり易い傾向の人とはどんな人でしょうか?
PMSはストレスや体調によって重くなりやすいため、育児や家事、仕事で忙しい世代の30代や、仕事や恋愛などストレスを抱えやすい20代に圧倒的に多く見られます。初潮が早かった人は10代後半から、年齢とともに症状は強くなり、40代まで悩まされている人も少なくはありません。
では「PMSになりやすい人とは?」具体的に例を挙げましょう。

  • 几帳面で神経質
  • 完璧主義者
  • 負けず嫌い
  • 神経質
  • 疲れが取れにくい
  • コーヒーや甘いものを好む
  • 免疫が低下している
  • 自律神経が乱れている
  • 体力がない
  • 急に忙しくなった人

が挙げられます。

特に、コーヒーや甘いものなど「嗜好品の摂取量が多い人」と「几帳面・神経質な性格の人」は特になりやすい傾向があると、調査でわかっています。

几帳面の画像

5.PMSの対策は?

現代の女性は忙しく仕事や育児、家事に追われています。
PMSの症状が辛いけれど忙しくて頭痛薬のみで済ましている方も多いのではないでしょうか?忙しい方でも簡単にできるPMS対策をまとめたので参考にしてください。

5-1.サプリメントを取る

食生活の改善がなかなか難しい場合、PMSの症状を早く改善したい人に、一番手っ取り早い対策としてオススメなのがサプリメントの摂取です。
PMSに対する理解が進むにつれて、近年ではPMSに効果がある成分がわかってきました。
以下のサプリメントを摂取して、症状改善に努めましょう。

プラセンタ

プラセンタで生理痛が軽くなる人がいます。長年、生理痛で頭痛薬を飲んできた人でもプラセンタを飲み始めてからはじめて頭痛薬がいらなかったということが起こります。排卵期や生理中に必ず寝込んでしまうという人も、普段通りに動けたという例もたくさんあります。生理時の出血が多い人も軽くなる例もあります。PMSや生理痛にはまずプラセンタを試してみることです。
プラセンタ純末100mgを毎日取り続けることで2~3カ月で効果があります。

γリノレン酸

PMS症状を訴える人の多くは、γリノレン酸の血中濃度が低いことが明らかにされています。
リノール酸の含む食品を取ると、生理活性の高いγリノレン酸に変換されます。
しかしマヨネーズやサラダ油に含まれるリノール酸の取りすぎや、コレステロールの多いものや甘いものなどの取りすぎ、また、加齢、ホルモンバランスの乱れ、アルコールの摂取によって、このγリノレン酸への変換がストップし、体内のγリノレン酸の濃度が低下してしまいます。
これにより、PMS症状を招いてしまうのです。

よってγリノレン酸を含んだ食品をとりたいのですが、豊富に含む食品はないため、γリノレン酸を含んだサプリメントや、月見草オイルのサプリメントなどから直接摂取しましょう。

テアニン

PMSの改善にはお茶に含まれているテアニンという成分が有効です。PMS症状の重い女性が、テアニンの従来の摂取量目安の5倍量となる一日1gの摂取を行ったところ、症状が緩和したことが確認されました。

お茶にはカフェインが含まれており、興奮作用がある!といったイメージですが、PMSの精神的症状(イライラ、無気力、不安)に対しての効果が明らかになりました。
お茶で1gのテアニンを取ろうとすると湯呑100杯分に相当するためテアニンだけを抽出したサプリメントで効率よく取りましょう。

チェストツリー

チェストツリーとは、ホルモンバランスを正常に整える働きのあるハーブで、女性ホルモンのひとつ、プロゲステロンの不足による症状を緩和する効果があることがわかっています。
月経前の乳房の痛み、むくみ、便秘、イライラなど、PMSの症状の改善効果があり、毎日摂取することで、ホルモンのバランスを整える手助けをしてくれます。
効果が現れるまでに2~3ヶ月の期間がかかる例があるので気長に続けることが大切です。

チェストツリーの画像

5-2.低用量ピル

PMSの改善対策として低用量ピルの服用があります。
ピルという名前から「避妊薬」のイメージがあるかと思いますが、低用量ピルには妊娠を防ぐ以外にも「月経痛を軽減」する効果があります。
低用量ピルを服用すると、月経前のホルモンバランスの変化が少なくなります。
低用量ピルは、主に婦人科で処方してもらえるので、医師の診察を受け適切な濃度のものを選んでください。

ピルの画像

低用量ピルを飲んではいけない方もいるのでPMSの辛さを低用量ピルで解決!も参照してください。

5-3.漢方

月経前症候群の多様な症状には漢方薬も有効です。
漢方には「気・血・水」と言われる概念があり、PMSは「気・血・水」のバランスが乱れて、気の異常の「気滞」「気逆」、血の異常の「お血」、水の異常の「水毒」などが起こっている状態と考えられます。
「気・血・水」の詳しくは更年期障害に効果を発揮する漢方薬を参考にしてください。

PMSの漢方治療では、問診、腹診などが行われ、それを元に、気血水のどこに異常があるのかを考慮し、漢方薬を処方します。漢方薬はひとつの処方で多様な症状に効果があるので、PMSには向いているのです。

PMSの代表的な漢方は以下のとおりです。

表.PMSに効果的な漢方薬

漢方薬名

向いている体質

症状

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 体力のある人のPMS症状に  ●お腹の張り
●冷え
加味逍遥散(かみしょうようさん) 体力虚弱の人のPMS症状に  ●不眠
●イライラ
●肩こり
●頭痛
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 疲れ安い軟弱な体質の人のPMS症状に  ●疲れやすい
●月経時のむくみ
●腰痛
通導散(つうどうさん) 比較的体力が有り、便秘気味な人のPMSの症状に  ●不安
●不眠
●便秘
●月経不順
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう) 几帳面で欝気味な人のPMSの症状に  ●顔色が悪い
●冷え症で疲れやすい
●神経症

漢方の画像

5-4.温める

月経前症候群PMSの重い生理痛の原因となるものには、子宮の冷えからくるものもあります。子宮を冷やしてしまう冷たい飲み物を飲んだり、脚を露出するようなスカートを履いたりすることはもってのほかですが、長時間の座り姿勢なども子宮を冷やす原因になります。
長時間の同じ姿勢でいることによる血行不良がPMSを悪化させる要因となるのです。
簡単にできる体の温めの方法をお教えします。

  1. 蒸しタオルを用意して首を温める
  2. 湯たんぽで足を温める。
  3. ホッカイロを腰や下腹部に貼る。
  4. 厚めの靴下を履いて足首を温める。
  5. 湯船に浸かってゆったり温まる。
  6. 仙骨を温める。(仙骨とはお尻の真ん中にある大きなごろっとしている骨です。ここを温めるとエストロゲンが分泌されやすくなります。)

 などはすぐに実践できる方法です。

湯船につかる画像

5-5.アロマテラピー

PMSの症状には、むくみ、頭痛、腹部膨満感など、肉体的症状だけでなく、イライラ、不安感、不眠など精神的な症状も多くあげられます。
精神的な症状を改善させる方法としてはアロマテラピーがあります。
香りは、自律神経や脳の視床下部まで直接届き、効果をもたらします。

アロマテラピーの行い方としては

・部屋にスプレーしてエアーフレッシュナーとして
・アロマポットなどの専用器具で

などの方法があります。症状に合うものや好みの香りを見つけて、是非試してみてください。

PMSに有効なアロマオイルをご紹介します。

 クラリセージ (深みのある、濃厚な香り)

女性ホルモンに似た働きをするスクラレオールが含まれており、ホルモンバランスを整える効果があります。

●月経前に心地よく感じる
●気分を高揚させます
●精神的なダメージに
●頭痛、腹痛

 ネロリ (かんきつとフローラルの香り)

PMSの時に一滴でも嗅ぐとイライラが治まります。クラリセージよりもやさしい香りです。

●PMSのイライラを鎮める
●不安な気持ちを鎮める

 イランイラン (エキゾチックでロマンティックな香り)

リラックス作用があります。

●不安、緊張、ストレスに
●生理痛などの性的障害に
●極度な緊張やストレスを和らげ、気持ちを解きほぐします。

 カモミールローマン (甘く優しい香り)

婦人科系の治療に用いられるアロマです。寝付きにも良いとされます。

●精神的なダメージに
●頭痛、腹痛
●リラクゼーションを促し不安を和らげます

 ラベンダー (ウッディーでフローラルな香り)

鎮痛作用があり、身体面では血圧や心拍を沈め、精神面ではリラックス作用があります。

●安眠したいとき
●頭痛、胃痛に
●精神疲労、ストレスやイライラな心を癒しリラックスさせます
ラベンダーオイルの画像

 5-6.ストレッチ

PMSからくるうつの症状には、ストレッチが効くという報告があります。
ストレッチのような有酸素運動は、抗うつ剤と同じ程度の効果があるそうです。
うつ症状の再発率は、運動した人の方が低く、90%の人が10ヶ月も改善効果が持続したそうです。
運動は副作用がないので、ストレッチや、散歩など軽いものでも大丈夫です。

PMSを改善するストレッチの画像

出典:YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=C4PPZDFMwyg

5-7.PMSの三大栄養素を摂る

PMSの症状がある人は、空腹の時につい、ジャンクフードや手軽に取れるものに手を出しがちです。
本来行うべき、規則正しい食生活を怠ってしまうのはPMSをさらに悪くさせる原因となります。
PMSの時にとりたい食事は以下のとおりです。参考にしてください。

マグネシウム

PMSのイライラ、情緒不安はマグネシウムが効果的です。
マグネシウムは緑黄色野菜、玄米、ナッツ類などに多く含まれます。

ミックスナッツの画像

 カルシウム

カルシウムはホルモンを生成する、内分泌系に影響を与えて、むくみ、気持ちの不安定、痛みなどを改善すると言われています。マグネシウムと一緒に取ると効果的です。

 ビタミンB6

PMSを改善する栄養素です。PMSによるうつや、心配性を改善する効果があります。
ビタミンB6は、さんま、かつお、マグロなどに含まれます。

マグネシウムと取ると効果的です。
なお、過剰摂取は神経障害を起こすことがあるので100mg以下に収めましょう。

5-8.睡眠

PMSには「眠くてしかたがない」「寝つきが悪い」と真逆の症状を訴える人もいます。
睡眠障害についても理由がはっきりしていませんが、睡眠物質であるメラトニンが関わっているのではないかと考えられています。
睡眠不足はPMSをさらに悪循環に陥れてしまいます。
PMSの症状に襲われたら、体を休めることが第一です。
紹介した対策のうちの、アロマテラピーやサプリメントなどを利用して深い睡眠を取りましょう。
家事や仕事を後回しにして、体を十分に休めることも大切です。

睡眠の画像

5-9.セロトニンでノンストレス

生理痛に弱い人はストレスにも弱い傾向があるそうです。
外部からのストレスを受けた時にPMSの症状が悪化し、ストレスが解消されると症状の緩和が見られるなど、PMS症状にはストレスの影響があるのは明らかです。
PMSの症状を自覚している女性は、もともとのストレスへの抵抗力が弱く、PMS症状が起こることでさらにストレスを招いてしまうというような悪循環に陥ってしまうのです。

女性は月経前にセロトニンの分泌量の低下が起こります。
セロトニンが体内にあることで精神の安定が図られますが、この月経前のセロトニンの分泌量の低下によってストレスをさらに蓄積しやすい状態になってしまうのです。
そうならないためにも、「ストレスへの抵抗力」を高めることがPMSを改善する要素となります。
セロトニンは不規則な生活、日光に当たらない生活を送っていると分泌が少なくなります。

また、セロトニンを分泌させるには…

  •  リズム運動をする
  • 号泣する
  • 首回しをする
  • アロマテラピーをする
  • ウォーキングをする
  • 深呼吸をする

などの方法が効果的です。

PMSの症状が収まり、生理が終わると明るく前向きな気持ちでちょっとしたことでもイライラせず、自身に満ち溢れた時期がきます。

深呼吸する女性の画像

参考文献:PMSの悩みがスッキリ楽になる本 著者:池下育子

 まとめ

PMSでは辛いと感じたらまずプラセンタやチェストツリーを試してみましょう。また一人では悩まず、婦人科を診療したり、専門外来で相談したりしましょう。生理の悩みは繰り返すことで自分のなかでの当たり前になってしまい、他人に話すことがなくなります。
PMSは改善の方法がありますから正しい知識と行動をして毎月の負担を軽くしてください。

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