タバコを長く吸ってきた人と、全く吸わない人の肌を比べると、喫煙者のほうが老化のスピードが早いことに気付かされます。
一体なぜ、このような差がついてしまうのでしょうか?
タバコでスモーカーズフェイスになる理由と、有効な3つの対策について説明します。
1.スモーカーズフェイスって何?
「スモーカーズフェイス」とは、タバコを吸うことによって老化が進んでしまうこと。
シミ、シワ、たるみ、クマ、頬のコケが出やすくなり、肌のハリや艶も失ってしまうので、同年代の他の女性と比べた時、10歳ぐらい年上に見えることも少なくありません。
せっかく美人に生まれても、ファッションセンスに自信があっても、老け顔では魅力も半減してしまいますよね。
次の項目では「なぜ、タバコを吸うとスモーカーズフェイスになるのか」ということについて詳しく説明していきます。
2.スモーカーズフェイスになってしまう原因
スモーカーズフェイスになってしまう4つの原因について説明します。
2-1.活性酸素の発生
タバコを吸うと大量に発生する活性酸素には、細胞をサビつかせたり、コラーゲン組織を破壊したりする作用があります。コラーゲンが破壊されると弾力がなくなり、シワやたるみの原因となります。
これを防いでくれるのが、高い抗酸化力を持つビタミンC。
しかし、喫煙によって壊されるビタミンCの量は、体内にもともとあったビタミンCの量を軽く上回ってしまうため、日常的にタバコを吸う人の肌は荒れやすくなるのです。
2-2.新陳代謝が悪くなる
タバコによってビタミンCが破壊されることは、活性酸素の除去に支障が起きるだけではなく、新陳代謝のサイクルにも影響を及ぼします。
ターンオーバーが滞ると肌が乾燥し、バリア機能も低下するので、老化に加えてニキビや吹き出物などの肌トラブルも出やすくなります。
2-3.血行不良を招く
タバコに含まれるニコチンには、血管を狭くして血流を妨げる作用があります。
そのため、肌細胞の生まれ変わりに必要な酸素や栄養素が届きにくくなり、ターンオーバーを低下させて、肌の老化を促進させてしまうのです。
また、血行不良になると体が冷えますが、これがホルモンバランスの乱れにつながります。
エストロゲンの分泌量が減るとコラーゲンが作られにくくなり、皮脂の分泌量が増えるので、冷え性を治さない限り肌の調子は悪くなる一方です。
2-4.メラニンが増える
喫煙者は角質のメラニン量が非喫煙者と比べて多いという調査が出ています。
喫煙することでメラニン量が増え、メラニンを抑制する働きも低下してしまいます。
ビタミンCも破壊されてしまうので酸化を防ぐ栄養素が失われてしまいます。
その結果、肌のくすみやシミができてきます。
3.スモーカーズフェイスって治せるの?
さてタバコを吸い続けている限り、厄介なスモーカーズフェイス化は避けられません。
それではタバコを吸うのをやめ、禁煙をすれば肌の調子は徐々に回復していきます。
ただし、くっきりと刻まれてしまった深いシワや、弾力をなくしてたるんでしまった肌を元通りにするには長い時間が必要だし、完全に元の状態に戻すのは難しいです。
肌の老化を少しでも食い止め、回復させやすくするには、1日も早くタバコをやめる努力が必要です。
具体的な禁煙の方法を紹介してきます。
3-1.ニコチンガムやニコチンパッチを使う
「急にスパッとタバコをやめる自信がない」という時は、市販の禁煙補助薬を使うという方法もあります。
ニコチンガム、ニコチンパッチなどの種類があり、ガムを噛んだり、皮膚に貼ったりすることで適量のニコチンを補給し「タバコを吸いたい」という欲求を抑える仕組み。
それぞれについて、詳しく説明します。
3-1-1.ニコチンガム
タバコを吸いたくなった時や、なんとなく口さみしい時に、1回1粒を噛んで服用します。
突然の喫煙欲求に対して即対応できるので、常に持ち歩いていると安心。
口の粘膜に吸収されるには時間がかかるので、30分以上かけてゆっくりと噛みましょう。
急いで噛むと効果が半減するだけでなく、一度にニコチンが出て吐き気や胃の不快感を起こしやすくなるので注意してくださいね。
<1日あたりの必要量の目安>
- 1日の喫煙本数が20本以下/1日4~6個
- 1日の喫煙本数が21~30本/1日6~9個
- 1日の喫煙本数が31本以上/1日9~12個
※1日あたりの最大使用量は24個までです
1週間ごとに少しずつガムの使用個数を減らしていき、3ヶ月目までには1日あたりの使用量を1~2個に抑えられるようにしましょう。
このぐらいになると喫煙欲求はかなり治まっているはずなので、ガムをやめてもタバコを吸わずにいられる可能性が高いです。
<ニコチンガムの使用に注意が必要な人>
- 妊娠中または授乳中の人
- あごの関節に障害のある人
- 心臓や血管に障害のある人
その他、用法用量は医師や薬剤師の指示を仰ぐようにしましょう。
3-1-2.ニコチンパッチ
いつでも自由に使えるニコチンガムとは違い、ニコチンパッチは起床時に貼り、就寝前に剥がすという使い方をします。
パッチを貼る場所は特に決められていませんが、背中、二の腕、おへそより少し上のあたりが貼りやすくておすすめ。
毎日場所を変えて貼り、2ヶ月を目途に使用をやめられるようにしましょう。
喫煙本数が多かった人はニコチンが多く含まれているパッチを使う必要がありますが、市販のニコチンパッチでは最大で35㎎のニコチンしか含まれていません。
そのため、張り切ってパッチを使い始めたものの、物足りなくて結局タバコを吸ってしまう人も多数。
病院では最大で52.5㎎のニコチンを含むパッチを処方してもらえるので、市販品で効果が出なかった人は相談してみると良いでしょう。
ちなみに、病院で処方されるものについては「24時間貼りっぱなし」を推奨されるケースが多いです。
<ニコチンパッチの使用に注意が必要な人>
- 皮膚にかぶれなどの異常がある人
- 汗っかきの人(パッチが剥がれてしまうため)
- 妊娠中または授乳中の人
- 心臓や血管に障害のある人
- うつ病と診断された経験のある人
3-2.禁煙外来を受診する
「自分だけの力でタバコをやめる自信がない」という人には、医師と二人三脚で禁煙を目指す「禁煙外来」の受診がおすすめです。
第三者である医師に禁煙を宣言するだけでもモチベーションを維持しやすくなるし、専門家による治療やアドバイスが受けられるので安心です。
次の条件に当てはまる人なら、保険を使える可能性もあります。
禁煙外来で保険が使える人とは?
- ニコチン依存症のチェックで点数が5点以上
- 1日あたりの喫煙本数×これまでの喫煙年数が200以上
- 禁煙を始めたいという強い意志がある
- 病院での禁煙治療開始に文書で同意している
※前回の保険による初回診察日から1年未満の場合は、これらの条件を満たしていても自費診療となります
※ニコチンガムによる治療については、保険が適用されません
禁煙外来での治療内容
禁煙外来では、ニコチンガムやニコチンパッチ、飲み薬の中から最適な禁煙補助薬を選んで治療を行います。
ニコチンガムやニコチンパッチは適量のニコチンを補給することで「タバコを吸いたい」という欲求を抑えるものですが、飲み薬にはニコチンが含まれていません。
では、どのようにして禁煙に導いていくのかというと、脳の中のニコチン受容体に結合することでニコチンより少量のドーパミンを放出させ、イライラなどの禁断症状を抑えるという仕組みです。
また、もし再びタバコに手を出してしまっても、ニコチンが受容体に結合するのを邪魔して「まずい」と感じさせるという効果も期待できます。
4.禁煙したらお肌が変わる!
頑張って禁煙を成功させたら、具体的にどのような肌の変化が実感できるのでしょうか?
禁煙成功者の生の声を紹介するので、参考にしてみてください。
- 禁煙から2週間ぐらいで、肌全体のくすみが目立たなくなってきた
- 肌のツヤが蘇り、若く見られるようになった
- 1ヶ月が過ぎる頃、肌のカサつきがあまり気にならなくなってきた
- 食事がおいしくいただけるようになったせいか、肌に必要な栄養が行き届いている感じ
- シワやシミが目立たなくなり、嗄れていた声も元に戻ってきた
早い人は数週間、遅い人でも3ヶ月を過ぎる頃から肌の変化を感じることが増えてきます。
ニコチンの作用で食欲が湧かなかったり、不眠気味になっていたりした人は、こうした問題も解決しやすくなるでしょう。
喫煙歴が長ければ長いほど回復にも時間がかかるので、思い立ったらすぐに禁煙を始めることが大切です。
5.お肌をキレイにする食事ケア
美肌を作るには、毎日の食事の内容に気を配ることも大切です。
特に、ビタミン類は重要です。
これらの栄養素を多く含む代表的な食べ物や、上手な食べ方について説明します。
5-1.ビタミンC
ビタミンCのお肌に対する主な働き
- コラーゲンの生成
- メラニンの生成を阻害&できてしまったメラニンの還元
- 活性酸素の分解
ビタミンCを多く含む代表的な食べ物
- アセロラ
- ブロッコリー
- 赤ピーマン
- 芽キャベツ
- パセリ
- レモン
- キウイフルーツ
- いちご
上手な食べ方
ビタミンCは水溶性なので、食材を長時間水にさらすと栄養素が流出してしまいます。
また、加熱すると壊れやすくなるので、調理は短時間でさっと仕上げるのがポイント。
サラダにしたり、果物を洗ってそのまま食べたりして、できるだけ損失を防ぎましょう。
5-2.ビタミンE
ビタミンEのお肌に対する主な働き
- 皮膚の血行促進
- 活性酸素の除去
- メラニンの沈着を防ぐ
- 抗炎症作用
- バリア機能の強化
ビタミンEを多く含む代表的な食べ物
- ひまわり油、大豆油、べにばな油などの植物油
- アーモンド
- アボカド
- うなぎの蒲焼き
- かぼちゃ
- 赤ピーマン
上手な食べ方
ビタミンAやビタミンCと一緒にとると、相乗効果で抗酸化作用がアップします。
植物油をビタミンAを多く含む緑黄色野菜を炒めるのに使ったり、ビタミンCを含む野菜のドレッシングに混ぜたりすると、効率よく摂取できますよ。
酸化しやすいビタミンなので、油や食品は長期保存せず、すぐに食べきれる量をこまめに購入することをおすすめします。
6.お肌をキレイにするサプリメント
栄養はできれば食事から摂るのが理想ですが、中には普段の食事からはなかなか摂取しにくい種類のものもあります。
そんな時、役に立つのが市販のサプリメント。
錠剤やカプセルを水かぬるま湯で飲むだけで、足りない栄養素をしっかり補ってくれるので、外食やインスタントの食事が続く時にも便利です。
美肌づくりに定評のあるものを紹介します。
6-1.マルチビタミン
昔に比べて野菜に含まれる栄養素が減っていることや、肉類や乳製品中心の食事で野菜の摂取量そのものが減っていることから、現代の日本人は慢性的なビタミン不足に陥っています。
そこで、まず摂っておきたいサプリがビタミン……ということになるのですが、ビタミンにもいろいろな種類があり、1日に何粒ものサプリを摂るのは難しいので、全てのビタミンを1つにした「マルチビタミン」というサプリを利用してみましょう。
これなら1日2粒程度飲むだけなので、手軽に続けられますね。
6-2.コラーゲン
コラーゲンは、年齢とともに少しずつ減っていくたんぱく質。
とはいえ、食事から摂れる栄養素だけで十分な量を生成するのは難しいので、これも上手にサプリの力を借りていきましょう。
コラーゲンは体に吸収されにくいので、できるだけ吸収率の良いものを選ぶことが大切。
たばこを吸う方は効率よくコラーゲンを補うことをお勧めします。特に喫煙者に対して臨床試験を実施しているコラーゲンもあります。
6-3.プラセンタ
プラセンタはヒトや馬、豚、羊の胎盤から抽出されるエキスのことで、成長因子によって細胞の生まれ変わりを促したり、体を作る元となる栄養素や、体をスムーズに動かすために必要な成分を補給したりする働きがあります。
日本でサプリに使われるのは馬、豚から抽出されたものがほとんどです。馬プラセンタは値段も高いので、飲んだり飲まなかったりするよりは、上質な豚プラセンタをコツコツと続けたほうが効果的かもしれません。
まとめ
タバコによって肌の老化が進む原因や、対処法について説明しましたが、いかがでしたか?
喫煙によって失われるビタミンCやその他の栄養素を食事やサプリから積極的に取り入れ、体の中から美肌づくりのベースを整えることも大切です。
頑張って、もう一度若々しい素肌を取り戻しましょう!