月経前症候群(PMS)とは約8割の女性が経験する女性特有の症状です。
生理前の3~10日前から始まり月経が始まるのと同時に症状が治まっていきます。
原因はいくつかの説が考えられており、ホルモンが関係しています。
1カ月の大半をPMSの症状があるととても辛いですよね。今回はそんなPMSの症状を改善する方法をお教えします。
1.PMSの症状とは?
PMSの症状は乳房の張り、イライラ、頭痛、怒りやすくなるなど様々です。症状には個人差があり、ひとつだけの場合や複数の症状が複合的に起こったりします。その他、便秘や腰痛、眠気、むくみ、肌荒れ、むくみなども症状にあります。
PMSをチェックする
以下のPMSチェックカルテでPMSのパターンがわかります。
あなたのパターンをチェックしてみましょう。
出典:http://www.terumo-womens-health.jp/trouble/3_2.html
2.PMSの改善方法
2-1.基礎体温をつける
PMSになると、イライラしたり落ち込みやすくなったり…自分でコントロールすることは難しいですよね。まずは、敵を知ることから始めましょう。今までわからなかった不快な症状も、始まる時期や症状を自分自身で知っておくことで気持ちも少し楽になります。
PMSになる時期は、高温期とされています。
基礎体温をつけることで高温期を知ることが出来るのでPMSに備えられます。
以下のページにて基礎体温が書き込める「PMSノート」がダウンロードできますので活用してみてください。
PMSセルフケア(PMSノートをつけてみよう)
出典:http://www.terumo-womens-health.jp/trouble/3_3_1.html
2-2.食事
2-2-1.イライラにはカルシウム・マグネシウム・ビタミンD
カルシウムを豊富に摂取している人としていない人では、PMSの症状に大きく差がでるほど影響がある言われています。カルシウムには精神安定効果やホルモンの分泌作用に必要とされるミネラルです。また、カルシウムとマグネシウムが互いに必要な栄養素であり、カルシウムとマグネシウムの摂取のバランスも大切です。マグネシウムはカルシウムの半量が適量とされています。
マグネシウムが不足すると体のあらゆるところに不調が起こります。特に女性はマグネシウム不足の傾向があります。体に余分な水分がたまるのを防ぐ効果や、神経伝達をスムーズにするため気分障害にも効果があります。ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、PMSになりにくいという研究結果があります。特に牛乳は体内に吸収されやすくビタミンDも含まれており、カルシウムを補うためには適している食品なのです。
- カルシウムが多く含まれる食品・・・牛乳・チーズ・干し海老・ひじき・モロヘイヤ
- マグネシウムが多く含まれる食品・・・ひじき・ごま・ナッツ・アーモンド・玄米
- ビタミンDが含まれる食品・・・小魚・青魚・あじ・さんま
カルシウムとマグネシウムが一緒に摂取できる「ひじきごはん」をご紹介します。
2-2-2.肌荒れにビタミンB群
PMSの肌荒れにはビタミンCや、ビタミンB6、鉄分などがよいでしょう。
バナナやさんま、マグロなどに豊富に含まれているビタミンB6は、女性ホルモンの働きを活性化させ、むくみや肌荒れ予防に効果があります。
生理前にはぜひ摂っておきたい食品です。特にバナナは生理前に減少してしまう「セロトニン」の合成を助けるトリプトファンとビタミンB6を含んでいますからイライラ解消に効果があります。他にも腸内環境を整えたり、むくみを改善したりする効果があります。
バナナのレシピをご紹介します。
PMS対策に♪バナナ甘酒ヨーグルト
<作り方>
材料
バナナ 適量
甘酒 適量
ヨーグルト 適量
グラノーラ 適量
- バナナを1口サイズにカット
- ヨーグルトに甘酒を合わせて混る
- バナナとグラノーラをのせる
2-2-3.むくみに「亜鉛」
亜鉛はホルモンバランスを整える働きのあるミネラルです。生理前にはいろいろなミネラルが不足します。女性の場合は卵子に亜鉛が豊富に含まれているため、欠乏してしまうと生理不順になったりと、亜鉛は女性の体に欠かせないものです。皮膚の新陳代謝をスムーズにする働きもあるので、むくみなどの改善には亜鉛がおすすめです。
「亜鉛」を多く含んだレシピをご紹介します。
亜鉛たっぷり!牡蠣フライ
<作り方>
材料
牡蠣 お好みの量
塩 適量
溶き卵 1個分
小麦粉、パン粉 適量
揚げ油 天ぷら鍋の1/3~2/3
キャベツの千切り 適量
- 牡蠣を多めの塩でもみ洗いをする
牡蠣のひだは汚れがあるので丁寧に洗い流す - 牡蠣についた水分はキッチンペーパーで拭く
- 小麦粉、溶き卵、パン粉の順番につける
- 180度の油で揚げる
4分ほど揚げるときつね色になり浮いてくる - キッチンペーパーでに揚げ油を吸わせたら、出来上り
また「むくみにはカリウムを摂りましょう」と言われていますが、カリウムの摂取量が多い女性はPMSの発症リスクが高いという効果も得られました。
通常の食事で摂る文には摂り過ぎの危険性はないのですが、サプリメントで補っている方はむくみを引き起こしている可能性がありますので摂り過ぎには気をつけましょう。
2-3.低用量ピル
低用量ピルは避妊薬という認識の人も多いとは思いますが、PMSや生理痛、吹き出物などの症状改善薬としても使われています。
低用量ピルに含まれる卵胞ホルモンと黄体ホルモンが、体の中にあるこれら2種類のホルモンの量を調節します。それにより卵胞は成熟せず排卵を抑制させます。
ホルモンの量をひと月を通して一定に保つことで子宮内膜が厚くならずPMSなどの症状を緩和することができます。
注意点としてはピルを服用すると血栓ができやくなります。たいていは飲み始めの3ヶ月の間に生じる場合が多く、頭や胸、腹などの急激な痛みに注意する必要があります。少しでも不安がある場合は医師に相談しましょう。
なお35歳以上でたばこを一日15本以上吸う人は低用量ピルを服用できません。
厚生労働省より:月経困難症治療剤「ヤーズ配合錠」投与患者での血栓症に関する注意喚起について
出典:http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000034892.html
2-4.サプリメント
チェストツリー
チェストツリーというハーブは日本ではあまり馴染みはありませんが、ヨーロッパでは婦人科系のハーブとして、馴染みのあるものです。
チェストツリーは黄体ホルモンである、プロゲステロンの不足による症状を緩和する効果があることがわかってきています。
PMSにおける乳房の痛みや、むくみ、便秘などの改善効果もあります。
効果が現れるまでは2ヶ月ほどかかるので、半年位は続けるつもりで飲みましょう。
※女性ホルモンバランスを直接サポートするパワーがあるので使い方を間違わないようにしましょう。
例えばホルモン充填療法を受けていたり、妊娠中・授乳中などは利用できません。
また低用量ピルとの併用もできないので注意しましょう。
不調を感じたら止めるとすぐに収まりますので、体の変化にも気をつけましょう。
プラセンタ
豚や馬の胎盤からつくられるプラセンタサプリメントもイライラや気分の急激な落ち込みを防いでくれます。
プラセンタには赤ちゃんを育てる栄養素がバランスよく含まれているので、体の中の弱った部分から効いてきます。
プラセンタは他にも更年期障害によるホットフラッシュや過多月経による経血の量の多さも抑える働きがあります。
γリノレン酸
日本人に馴染みが深いのが、月見草に含まれるγリノレン酸です。
リノール酸を含む食品を摂ると、体内で生理活性の高いγリノレン酸に変換されます。
しかしリノール酸を取りすぎても、γリノレン酸への変換がストップしてしまうのです。加齢や甘いもの、アルコールなどによってもγリノレン酸への変換が低下します。
γリノレン酸を十分に摂取していると生理痛やPMSを改善するのに効果的です。
γリノレン酸の効果は比較的ゆっくりですので、最低でも3ヶ月の継続服用が望ましいです。
鉄分
PMSなどの貧血には鉄分の摂取がおすすめです。
鉄には、野菜などの植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」と魚や肉に含まれる動物性食品に含まれる「ヘム鉄」の2種類があり、日本人が食事で摂取している多くのものは、「非ヘム鉄」です。
頭痛がひどい時は体内の鉄が不足して貧血になっていることがあります。特にフィリチンと呼ばれる貯蔵鉄が低下していると、一般的な検査では貧血とはならない「隠れ貧血」の場合があります。
ヘム鉄などのサプリメントで補給するようにしましょう。
テアニン
緑茶や紅茶に含まれる「テアニン」はPMSの症状を軽くする作用があることで知られています。PMS症状の重い女性が1日1gをとったところ症状が緩和することを確認しました。
20代から40代の女性に基礎体温を測定し、眠い、いらいらするなどの自覚症状を記録してもらい、28人のうちPMSの症状が重いとされていた18人についてテアニンによる症状の改善が確認されています。
中でも精神的な症状の改善効果があります。
2-5.漢方
PMSのような症状が多様にある症状には漢方が効果があります。
漢方には「気・血・水」という概念があり、PMSはこの3つのバランスが崩れて起こると考えられています。漢方の治療には、これらのどこに異常があるのかを診断して漢方が処方されます。
イライラや抑うつ、不安感などは気の異常である「気逆」「気滞」
むくみ、めまい、吐き気は水の異常である「水毒」
頭痛、肩こり、腹痛などは「お血」
というふうに分かれられます。
「気逆」「気滞」に効果がある漢方薬
加味逍遥散(かみしょうようさん)
冷え、不眠、血の道症に効果があります。
肩こりやめまいなどにも良いです。
抑肝散(よくかんさん)
神経症、不眠に効果があり、攻撃性の強い方や、不眠傾向のある方に。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
不安神経症や不眠などに効果があります。
神経質で精神不安のある方に。
「水滞」に効果がある漢方薬
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
月経痛、貧血、むくみなどに効果があります。
虚弱体質の人に効果があります。
五苓散(ごれいさん)
むくみや吐き気、頭痛・めまいなどのある方に効果があります。
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
むくみや多汗、倦怠感に効果があります。
水肥り体質で色白、体力が低下している人に向いています。
「お血」に効果がある漢方薬
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
便秘や精神不安、頭痛腰痛などの月経症状全般に用いられます。
左下腹部に圧痛があり、冷えやのぼせ傾向のある方にむいています。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
下腹部痛、冷え、肩こりめまいなどに効果があります。
温経湯(うんけいとう)
体力が弱く、腹部膨満感、のぼせなどの症状のある方に効果があります。
女神散(にょしんさん)
体力が中程度でめまいやのぼせ、不眠などの不定愁訴の改善に効果があります。
漢方についてはあなたのタイプ別|月経前症候群に効果のある漢方薬10選にもまとめてありますので参考にしてください
漢方の飲み方と購入方法
漢方は一般的に1日3回「食間」に飲みます。
胃が弱く、空腹時は胃に障るという人は食後に服用します。
PMSの症状があり、病院を受診した時には漢方を希望する旨を伝えると症状に合ったものを処方してくれます。ドラッグストアや通信販売などでも販売しています。
漢方薬局では個人個人に合った処方をしてくれるので相談してみるのもいいでしょう。
2-6.あたためる
生理前になると体に水分を溜め込む働きのある黄体ホルモンが増え、女性の体は水分を溜め込みやすくなります。余分な水分が溜まると体が冷えやすくなってしまうのです。
2-6-1.足湯で体をあたためる
お湯をはり、足首、ひざ下を温めることで体がポカポカします。下半身の緊張がほぐれます。
また全身の血流改善に効果があります。足首などが冷えていると老廃物が溜まって血流が悪くなり様々な病気のもととなりますので湯船に浸かったり足湯をしたりする習慣をつけましょう。
2-6-2.カイロを使って効果的にあたためる
カイロをサンドイッチのように体をはさみ、腹部とお尻に貼ります。効果的な場所は「丹田」と呼ばれる場所です。おへそから8~10センチ下にある恥骨周辺にあるところです。ホルモンバランスが整えられPMSの症状を緩和する働きがあります。
またおしりの真ん中の大きな骨「仙骨」とよばれる部分も温めましょう。
生理痛にも効果があります。
2-7.ヨガ
PMSの原因にはホルモンバランスの乱れによって引き起こされていると考えられます。
そんなデリケートな女性の体。そんな女性に働きかけるのが子宮を整えるヨガです。
ヨガの効果です。
- 凝って固まった子宮を整えます
- 「仙骨」の使い方を身に付け骨盤と姿勢の歪みを矯正できます
- ホルモンバランスの乱れによるゆらぎにも効果的
- 内側から引き締まった理想的なスタイルに
骨盤を安定させることで子宮をしなやかにし、ホルモンバランスも安定し、相乗効果が生まれます。
症状が辛い場合は無理に行わず、軽い時に試しましょう。
ステップ1「ゆるめる」
猫と牛のポーズ
- 四つん這いになり、ひじの内側を前の方に向け、軽く曲げます。ひじから指一本分のくぼみ、わきのうしろ、の2点を意識します。
- 息を吸いながらみぞおちを下へ沈めるように床に近づけます。目線は斜め上をみましょう。
- 2と逆に、息を吐きながらみぞおちを天井に近づけるように高く上げ、お臍を見るように顔をうずめます。2と3を繰り返します。
ステップ2「しめる」
椅子のポーズ…子宮があるべき位置に収まり活性化されます。
- 両足を腰幅に開きまっすぐ立ちます。
- 遠くの椅子に座るように膝を曲げずにお尻を落とします。同時に仙骨を立て、みぞおちを軽くくぼませます。
- 2の姿勢をキープして胸の前で合掌します。桃浦が鍛えられているのを実感し目線は遠くを見るように前を見ます。
- 余裕があれば次へ進みます。
両手を挙げてまっすぐキープします。この時に首と肩の距離を十分にとります。辛くなったら3に戻ります。
ステップ3「リラックス」
子供のポーズ
- 足を腰幅に、手は肩幅に四つん這いになります。
- かかとの上にお尻を下げます
手を前に伸ばしていきながらかかとにお尻を徐々に乗せていきます。 - 腕をだらんと前に伸ばしておでこを床に沈めます。腕や体の重みを感じるようにゆっくりと呼吸しながらリラックスしましょう。
- リラックスしたい時は、おでこを床に付け、腕を後ろに伸ばします。ゆったり力を抜いて。
2-8.ウォーキング
PMSの症状を軽くするのには有酸素運動も効果的です。
運動不足にいなると自律神経が刺激される頻度が減り、ホルモンバランスが崩れやすいということが知られています。運動は健康維持やダイエットの他に、PMSとも密接な関係があるとされているホルモンバランスを整える効果が期待できるのです。日常の中に運動を取り入れることは結構大変ですよね。目安としては、一週間で3回程度、1回30分から60分程度の軽い運動をしましょう。ジョギングなどを30分、散歩などを1時間ほどの運動で大丈夫です。はじめはきついかもしれませんが徐々に運動量を増やしていきましょう。
2-9.アロマ
PMSの精神的症状を和らげる方法には、アロマがおすすめです。
香りは自律神経や脳の視床下部まで直接届くため、リラックス効果をもたらします。
部屋にスプレーしたり、アロマポットなどをあたため香りを楽しむことでリラックスできます。
おすすめのオイルをご紹介します。
2-9-1.クラリセージ
深みのある心地よい濃厚な香りです。
女性ホルモンに似た働きをするスクラレオールという成分が含まれておりホルモンバランスを整えます。
2-9-2.イランイラン
エキゾチックな香りです。リラックス作用があり、不安や緊張を和らげます。
2-9-3.ラベンダー
ラベンダーには鎮痛作用が有り、血圧や心拍を沈めたり、リラックスさせる作用があります。
安眠したいときや、頭痛、胃痛にも良いです。
2-9-4.カモミールローマン
婦人科系の治療にも用いられるアロマです。精神的ダメージや頭痛腹痛に良いです。
甘く優しい香りです。
2-10.ツボ
ツボには自己治癒力を高める働きが有り、ストレスにより乱れた女性ホルモンや自律神経を整える効果があります。
ツボを押す力は「痛いけど気持ちがいい」程度の強さで押します。
PMSに効果のあるツボについてまとめましたので参考にしてください。
- 中極(ちゅうきょく)
おへそから親指四本分下にあります。
泌尿器系にも効果のあるツボです。 - 曲骨(きょくこつ)
おへそから親指5本分下に位置します。
恥骨の上縁にあります。 - 腎愈(じんゆ)
腰(おへその裏)で左右へ指2本分離れたところ
体内の水分代謝、むくみ、腰痛の効果があります。
- 百絵(ひゃくえ)
頭頂部の真ん中で体の中心線と両耳の先端が交わったところに位置します。
人によってはブヨブヨ柔らかかったりするので探しやすいです。
頭痛、鎮痛効果、めまいに効果があるツボです。 - 陰陵泉(いんりょうせん)
膝の内側の骨の下あたりにあります。
女性ホルモンバランスを整えるとされているツボです。 - 三陰交(さんいんこう)
足の内くるぶしから4本の指を揃えた上にあります。
骨の後ろのきわにあります。
3.PMS改善のために避けたほうがいいこと
3-1.カフェインの摂り過ぎに注意
カフェインは利尿作用が有ってむくみなどに良い感じがしますが、PMSを悪化させる原因となります。
むくみや体重増加、乳房のハリにもつながるので協力控えるのがベストです。
どうしても飲みたくなったらハーブティーにチェンジするのをおすすめします。
3-2.塩分は控える
塩分の強いものやスナック菓子、ベーコンやハムなどの加工食品も控えたほうがいいです。
精製された砂糖を控えて、消化に時間がかかる玄米、小麦(全粒粉)、そば、とうもろこし、大麦を取ることで血糖値の急激な上昇と下降を抑えて空腹をさけるようにします。
まとめ
PMSは食事を工夫したりサプリメントを摂ることで女性ホルモンのバランスを整えられると改善します。
またツボ押しや体を温めることでリラックスし、精神症状の不安を取り除くことも大切です。
ご自身にぴったりの方法を見つけ実践してください。