あごにできてしまったニキビは思春期ニキビとは違う理由でできる大人ニキビです。ポツリと目立つし、なかなか治らないので隠すのも大変です。
特に生理前やストレスが溜まったときにできやすくなります。
この記事ではどうしてアゴにニキビができてしまうのか、またできないようにするにはどうしたらいいかをご紹介して、ニキビのないきれいなあごにしていきます。
1.あごにできるにきびは大人ニキビ
ニキビには思春期にできる思春期ニキビと大人ニキビとがあります。
1-1.思春期ニキビ
思春期には女性にもある男性ホルモンの活性が高くなることで、皮脂が大量に分泌されてニキビが出来やすくなります。毛穴や皮脂腺がまだ小さいのにそこに大量の皮脂が溜まってしまうことでニキビが出来やすくなるのです。
1-2.大人ニキビ
対して大人ニキビの多くは女性ホルモンのひとつ、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌によって起こったり、他にも生活習慣の乱れや乾燥、精神的ストレスなどの原因があるため、ニキビの原因である皮脂を抑えるだけでは治らない厄介なものなのです。
1-3.ニキビのできる場所
思春期ニキビが皮脂の多いTゾーンや顔全体にできやすいのに対し、大人ニキビは「あごのラインのUゾーン」にできやすいです。特にあごは毛穴が少なく、皮脂が多くなると毛穴に皮脂が詰まりやすく、頬や額などの他の顔の箇所に比べて大人ニキビが出来やすいのです。また他の部分に比べてターンオーバーが遅いため、ニキビ痕が消えにくいのが特徴です。
2.ニキビのメカニズム
ニキビができるメカニズムはまず皮脂腺が活発になり皮脂の分泌が多くなることで毛穴が詰まることから始まります。次に毛穴に詰まった皮脂を餌とするアクネ菌が毛穴に繁殖して白ニキビになります。白ニキビの上部が酸化して黒くなったものを黒ニキビ、さらに、毛穴の周りに白血球が集まってアクネ菌を攻撃し、炎症を起こしたものが赤ニキビです。
3.あごニキビの原因と対策
3-1.乾燥肌であごニキビができたときの対策
にきび=油性肌というようなイメージが強いと思いますが、実は大人ニキビは乾燥肌にこそできやすいのです。
乾燥肌の人は乾燥を防ぐため肌の油分を増やそうとしますが、油分のみを補い過ぎてしまうことできびができてしまうことがあります。乾燥肌の人には油分を補うのと同時にそれ以上に水分を増やすようにします。
3-1-1.油分と同時に水分を補う
水分が不足すると、毛穴にある角質が詰まりやすくなってしまいますから、ニキビ予防のためには水分を含んだ柔らかい肌にすることが大切です。クリームやオイルなどで油分だけを与えすぎないようにしましょう。乾燥肌の人はセラミドやヒアルロン酸配合の保湿作用の優れた化粧水や美容液を使ってからクリームを使用します。
3-2.ストレスによるホルモンの乱れによってあごニキビができたときの対策
人間はストレスを感じると、体が緊張状態になり、血流が悪くなります。その血流を正常に戻すため、抗ストレスホルモンが分泌されます。この抗ストレスホルモンによって、皮脂腺が刺激され、皮脂が過剰に分泌されるようになります。男性はあごの毛穴が開いていますが女性はあご周りの毛穴は発達しておらず、皮脂の過剰分泌により毛穴が詰まり、ニキビができてしまうのです。
まずは生活を見直してストレスを緩和したり、不規則な生活を改善していくことが大切になってきます。
3-2-1.ホルモンを整える対策
ホルモンバランスを整える方法についてご紹介していきます。
1.よく眠る
女性ホルモンの分泌には睡眠が大切です。眠ると、レム睡眠とノンレム睡眠が交互に繰り返されます。女性ホルモンは特に、眠っている間の深い睡眠であるノンレム睡眠時に分泌されます。レム睡眠とノンレム睡眠が交互に繰り返されます。ただ、たくさん眠ればいいというわけではなく、質の良い睡眠が大切になります。質の良い睡眠をとるためには当たり前のようなことですが「早寝早起き」が重要です。なぜなら眠気というのは太陽を浴びた14時間後に「メラトニン」という物質が分泌されることでおこります。朝6時に起床したとすると、夜の8時にメラトニンが分泌されてきて、10時に眠くなり、寝付くのが理想の睡眠です。この睡眠パターンは肌にとっても理想的です。また、朝食をしっかり取ることや、起床したら窓を開け、光を受けて目を覚ますことが体内時計を修復させてくれます。
2.運動をする
「運動すること」も良質な睡眠をとるためにも大切です。あごニキビ撲滅のために体を動かしましょう。
運動には
- 血行が良くなり代謝がアップする
- 成長ホルモンの分泌がアップする
- ストレスを減らすセロトニンが分泌される
- 自律神経を整え深い睡眠が取れる
という利点があります。
詰まりやすいお尻周りをほぐして、むくみを解消させるストレッチ
出典:https://youtu.be/ePj15GiWhbk
3-3.大人ニキビをつくらない食生活
思春期ニキビのできる原因は過剰な皮脂分泌であることに対し、大人ニキビは栄養バランスや生活習慣の乱れも原因のひとつです。肌によい理想の食事はすべての栄養素をバランス良く、続けて食べることです。腸内を常によい環境にすることで腸内細菌のバランスをとることが健康的な肌には必要なことです。食生活を見直して大人ニキビを作らない「おなか」を目指しましょう。
3-3-1.皮脂分泌を抑える食事
大人になっても脂っこいものを食べ過ぎたり、チョコレートを食べ過ぎてもニキビができます。これは脂質の取り過ぎによるものです。通常の食事が取れていれば問題ありませんが、ここでは皮脂の分泌を抑える食事をご紹介します。
皮脂の代謝に大きく関わっているのがビタミンB群です。ビタミンB群が不足すると、正常な脂質の代謝ができずに細胞が作り出せず、肌荒れやニキビが起こります。新しい細胞を生み出すビタミンBは肌にとって欠かせないものなのです。特に効果的なのビタミンB2とB6です。どちらも偏らず、バランスよく摂るように心がけましょう。
- ビタミンB2・・・ビタミンB2は皮脂の分泌を抑える作用があります。豚、牛のレバー、うなぎ、納豆などに含まれます。
- ビタミンB6・・・ビタミンB6は肌荒れの回復を手助けしてくれます。にんにくやマグロ、イワシ、あじなどの魚類に多く含まれます。
あまりおススメできないのはスナック菓子やチョコレートなどの高カロリーのものや、カレーなどの香辛料、刺激物、酒、コーヒーなどです。
3-3-2.女性ホルモンを増やす食事
女性ホルモンに似た働きをする食品があります。食事で女性ホルモンを摂取できるのなら普段の食事に取り入れたいですよね。
- イソフラボン・・・豆腐や納豆などの大豆に含まれるイソフラボンには女性ホルモンのエストロゲンに似た働きがあります。納豆、味噌、油揚げなどに多く含まれます。
- ビタミンE・・・ビタミンEは抗酸化作用があり、体内の活性酸素の発生を抑えます。不足すると肌老化の原因にもなり大人ニキビの悪化の原因になります。脂溶性ビタミンであるビタミンEはビタミンCと一緒に摂取するのが効果的です。あんこうの肝、すじこ、たらこなど魚類、サフラワー油、なたね油等に多く含まれます。
3-3-3.腸内環境を整える食事
腸内環境の改善には、食物繊維がよいでしょう。食物繊維には水溶性食物繊維、不溶性食物繊維とがあります。
- 水溶性食物繊維・・・野菜、いも、納豆、わかめ、きんかんなど
- 不溶性食物繊維・・・豆類、オートミール、きのこ類、ごぼうなど
不溶性の食物繊維より、不溶性の食物繊維を多く取るように心がけましょう。
不溶性の食べ過ぎは便が固くなり、水溶性の食べ過ぎは下痢になりやすくなります。
理想のバランスは水溶性:不溶性で2:1です。
3-4.スキンケア
いつものスキンケアをしていてもニキビが出来てしまったのなら、ニキビ用のスキンケアに切り替える必要があります。
大人ニキビの化粧品は、油分を抑えたもので保湿成分を配合し、ニキビ予防になるものが前提です。
「ノンコメドジェニック」「ノンコメドジェニックテスト済み」という表示がある化粧品は、ニキビのもとである角栓(毛穴に詰まった皮脂や角質の塊)が出来る可能性が低い化粧品です。この表示のある化粧品を選ぶこともよいでしょう。
大人ニキビを防ぐスキンケアのポイントは、保湿を行って、毛穴を詰まらせないことです。
肌に負担をかけないスキンケア法をご紹介します。
3-4-1.化粧水・美容液
化粧水や美容液を使うと、油分を与えずに水分を増やすことができるのでニキビ肌への保湿には向いています。セラミドやヒアルロン酸配合の保湿作用の高いものがおススメです。
3-4-2.ファンデーション
リキッドファンデーションやBBクリームなどの保湿効果のあるファンデーションもありますが、毛穴をふさぎやすく、ニキビには負担となることがあるのでなるべく、パウダータイプのファンデーションやフェイスパウダーを使うことがおすすめです。
3-4-3.ニキビ用化粧品
「ニキビ用」と謳っているものは安心ですよね。しかし注意しなければいけないポイントがあります。思春期ニキビと大人ニキビでは肌状態が異なる点です。思春期ニキビに適している化粧品はアクネ菌に働きかけ、厚い角質をはがし、肌を乾燥させるものです。これは皮脂分泌が盛んな思春期には向きますが20代以降の大人ニキビにはかえって悪化させてしまいますので、保湿成分が配合されており、炎症を抑える成分の化粧品が向いています。
3-4-4.ビタミンC誘導体
大人ニキビにはビタミンC誘導体入りの化粧品も効果的です。
ビタミンC誘導体は皮脂の分泌を減らし、抗酸化の力で炎症を抑えてくれます。特に浸透が良いのが、リン酸型と呼ばれるものです。ビタミンC誘導体はほかの成分と混ざると効果が下がってしまうので、シンプルなものを選ぶようにしましょう。1~2個のあごのニキビはビタミンC誘導体配合の化粧品を塗って、自然に治るのを待ちます。
3-4-5.ピーリング
古い角質が残って毛穴が詰まってしまうと、ターンオーバーがしにくくなってしまいます。このような毛穴のつまりやニキビケアの一つとしてピーリングという方法もあります。ピーリングとは「はがす」という意味で、古くなってつまった毛穴の角質を強制的に取り除いて肌を良い状態にすることが目的です。
あごに大人ニキビが2~3個できたとしても、ピーリングはせずに治るのを待ったほうがいいでしょう。
ピーリングを行うのはニキビがずっと治らないときです。肌に刺激を与えることになりますから慎重に行ってください。
- 美容皮膚科で行う方法(ケミカルピーリング)
美容皮膚科で行うケミカルピーリングは肌に薬剤を塗り、角質層を溶かして新しい肌の再生を促します。ピーリングに含まれている成分はおもにグリコロール酸、リンゴ酸などのフルーツ酸(AHA)などが主流です。ニキビの毛穴詰まりをとり、赤ニキビを残さないためにケアを行うため、ニキビを改善するだけでなく、ニキビ予防にも効果があります。
ほかのホームケアより効果が高いですが、施術を受けた場合は薬剤により皮膚の角質層が薄くなるためバリア機能の働きが未熟で保湿や紫外線対策を徹底するなどのケアが必要です。また薬剤を使用するため合わない方もいます。
医師の指示通りに通院し、数回通う手間もありますので、よく検討してみてください。
- 市販のもの
市販のものでピーリング剤があります。洗い流すタイプのもので、肌に数分のせて洗い流すという簡単な方法です。
ピーリングを選ぶ際にはAHAタイプ、つまりフルーツ酸のものがピーリング初心者にはおすすめです。毛穴を引き締めるものや保湿成分の配合されているものもあります。
- ゴマージュ/スクラブ
角質をポロポロ落とすようなタイプのものです。マッサージを行いながら角質を落とすのでスッキリと仕上がりますが、肌に刺激となるため、ニキビには避けたほうが良いです。
3-4-6.アロマオイル
ニキビに効果のあるのはティーツリーとラベンダーです。どちらも強い殺菌作用があります。原液1滴を綿棒に垂らして、ちょんとニキビの頂部だけにつけます。原液の精油はとても強いものなので全面には使用しません。
3-5.あごを触る癖
あごは割と無意識に触ってしまう場所です。それによる刺激でニキビができている場合もあります。
特に、ニキビが出来てしまったあとは触ってしまうのはニキビをより悪化させます。
触ることにってできたニキビは触らなければ治っていきます。
3-6.漢方
漢方医学ではニキビは皮膚病ですが、体の中の何らかの異常がニキビとして現れるものと考えます。体の異常とニキビはとても密接しているため、漢方治療が有効です。
ニキビの症状は漢方用語で「お血」といいます。
・冷え性
・慢性頭痛肩こり
・シミそばかす
・痔ができやすい
・月経痛がある
・クマができやすい
このような症状もお血の症状です。
お血は血の巡りが悪く、血液が滞っている状態で、栄養が行き渡らず新陳代謝が低下している状態と考えます。特に女性は毎月の月経によって血液を失うため、血液トラブルに悩まされることになります。そのため熱を下げる処方、血流をよくする処方がされます。
漢方には個人の体質や体格で処方が異なります。
ニキビに効果のある代表的な漢方をご説明します。
桃核承気湯
多岐にわたって用いられる漢方薬ですがニキビに効果があります。
便秘気味で、月経不順の方に向いています。ニキビ以外の肌荒れにも効果があります。
子宮収縮作用があるので、妊婦の方は避けましょう。
清上防風湯
ニキビの先端が尖って化膿し、腫れたニキビの炎症を抑えます。
ニキビの赤みが引き、炎症ニキビを抑えます。
大黄甘草湯
下剤作用があり、腸の運動機能を活性化させ、ひどい便秘に効果があります。腹部膨満感や、食欲不振のある方に向いています。比較的体力のある人に処方されます。
桂枝茯苓丸加悥い仁
血液の流れをよくし、老廃物の流れをよくします。ホルモンバランスを整える働きがあり、婦人科系の症状によく使われます。
半夏瀉心湯
皮膚が盛り上がっているにきびや、油っぽいニキビに効果があります。不摂生な食事習慣のある方、胃腸が弱い方に向いています。
温経飲
赤く炎症のあるニキビに効果があります。のぼせがあり乾燥肌や生理不順体質の方に向いています。
十味敗毒湯
化膿ニキビの膿を排出させ、炎症を抑えます。
当帰芍薬散
薄い褐色で、ツヤのないニキビや「ニキビが悪化しやすい体質」の方に効果があります。
ホルモンバランスを整える作用があり、月経異常や冷え性、婦人科系の症状に良く用いられる漢方です。
色白で痩せ型の人に向いています。
加味逍遥散
ストレスによるニキビに効果があります。貧血持ちでつかれやすく、イライラ症状がある人のニキビに向いています。
3-7-1.漢方の飲みかた
漢方は一般的には食間に飲みます。食事と食事の間で胃が空の状態の時に飲むと吸収されやすくなります。白湯などで飲ましょう。
また、自己流で複数の漢方薬を混ぜて飲むことは危険ですので、薬剤師や専門の方に相談しましょう。
3-8.婦人科の病気
あごにできたニキビがなかなか消えないなどの原因には、婦人科系の病気も考えられます。
ホルモンにも関係しているニキビですので、子宮や卵巣などにも影響されやすいと考えられます。
いつも生理前ににきびができる人が生理前でもないのでニキビができたなどの症状も心配です。
また、血行不良をおこす子宮筋腫や内膜症は黒ニキビができやすく普段とは違うニキビが出来てしまったら婦人科を受診しましょう。
3-9.ニキビ痕ができてしまったら
あごにきびはニキビ痕が数週間、数ヶ月にわたって消えないこともあります。
メイクはファンデーションの厚塗りをさけて、ニキビ痕にコンシーラーでカバーするようにします。
赤みが消えない場合はピーリングやビタミンCイオン導入がおすすめです。
ピーリングは美容皮膚科で治療を受けるとかなり改善が見られますので、どうしても消えない赤みを消したい方は検討したほうが良いでしょう。
まとめ
あごにできるニキビは思春期ニキビとは違い、放っておくだけではなかなか治りにくいものです。今回ご紹介した対策をひとつずつ行って、大人ニキビのできない体質を作りましょう。
ニキビのないあごはきれいなフェイスラインが作れます。