夜ぐっすり眠ることは健康の基本です。
しかし、現代の生活習慣では慢性定期に不眠と感じている人がたくさんいます。
この不眠には漢方が有効です。
脳の興奮を抑えたり、リラックスを促すなどして穏やかな効き目で不眠を解消します。
不眠の原因と不眠に効く漢方薬についてまとめました。
1.不眠とは?
睡眠の質や感じ方には個人差があり、少しの睡眠で満足する人もいれば10時間寝ても寝たりないという人もいます。
睡眠時間が少ないからと言って不眠とは呼ばず、夜間の眠りに問題があって、昼間に悪影響を及ぼすことを不眠といいます。
不眠のタイプは、4つあります。
- 床についても30分~1時間以上眠りにつけない入眠困難。
- 眠りについても夜中に何度も目が覚める中途覚醒。
- 通常、起床をする時刻より2時間以上前に目覚め、その後眠れない早朝覚醒。
- 眠りが浅く睡眠時間の割に熟睡した感じが得られない熟眠障害。
などのタイプがあります。
2.不眠の原因は?
不眠の原因は次のとおりです。
- 枕が変わったり暑さや騒音、明るさの影響などの環境要因。
- 年齢、性別によるもの、更年期、頻尿、体のかゆみなどの身体的要因。
- 悩みやストレス、緊張からの精神的ストレス、睡眠のこだわりなどの心の要因。
- 夜間のアルコール摂取、カフェインの摂取、運動不足など。
が考えられます。
夜間のカフェインやアルコールの摂取、テレビやスマートフォンなどを見たりすることなど睡眠の妨げになるような習慣をやめることが大切です。不眠の原因と考えられる緊張やストレスを取り除く努力もしなければいけません。
どうしても眠れないというときは医師との相談のもと睡眠薬を使う方法もありますが、睡眠薬に頼りたくないという人は漢方薬という選択もあります。
出典:http://www.suimin.net/step1/cause/
出典:今日から使える漢方薬の手引き 著者:入江祥史 坂井由美
3.不眠に効果のある漢方薬
不眠に効果のある漢方薬をご紹介します。
漢方薬では半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)や黄連解毒湯(おうれんげどくとう)などで脳の興奮を抑えたり、酸棗仁湯(さんそうにんとう)でリラックスを促す方法などで不眠を解消します。
睡眠薬ほどの効果は漢方薬では残念ながら得られませんが、睡眠薬を飲んだ翌日に「頭がボーっとする」などの作用がないので安全に服用できる利点もあります。
加味帰脾湯(かみきひとう)には眠りを深くする効果があり、八味地黄丸(はちみじおうがん)は体を温めるのに用いられるので安定した眠りが得られます。
そのほかの漢方薬についてもまとめましたので参考にしてください。
3-1.酸棗仁湯(さんそうにんとう)虚証
不眠症の代表的な漢方薬です。
心身が疲れて弱っている人の不眠に効果があります。
穏やかな睡眠作用を促し、鎮静作用があります。
疲れているのに眠れない、なかなか眠れない症状に効果があります。
3-2.半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)虚証
神経を沈めて心と体の状態をよくし、気分が塞いで、動機やめまいなどがある人の不眠症に向いています。
体を温める、生姜が含まれており、不眠により良い効果をもたらします。
3-3.黄連解毒湯(おうれんげどくとう)中間証~実証
比較的体力がありのぼせ気味でいらいらしやすい人に向いています。ほてり気味で目が充血しやすく、頭痛や耳鳴りがしたり、心配ごとによる不眠などに効果があります。
3-4.三黄瀉心湯(さんおんしゃしんとう)実証
黄連解毒湯の項目と同じような症状で体力が充実している人の不眠に効果があります。
体の熱や炎症を取り、のぼせやほてりに効果があります。
3-5.加味帰脾湯(かみきひとう)中間証~虚証
虚弱体質で、血色の悪い人の不眠に効果があります。
体が弱く繊細で、貧血の症状がある人に向いています。
3-6.八味地黄丸(はちみじおうがん)虚証
疲労や倦怠感、口が渇く人に効果があります。
高齢者向けの漢方薬で、不眠に効果が得られるというよりは夜中に起きてトイレに行きたくなる症状を改善し、ぐっすり眠るようになるといった効果があります。
下半身の冷えや、頻尿に効果があり、泌尿器系の悩みがある人に適しています。
暑がりの人や、ほてりやのぼせがある人には不向きです。
3-7.加味逍遥散(かみしょうようさん)虚証
体質虚弱な人で、肩こりがあり、疲れやすい人に向いています。
加味逍遥散にはホルモンバランスを整える働きがあり、生理前などの不眠に良い効果をもたらします。
血流を温めるので冷え性の改善や生理不順、便秘解消にも効果をもたらすなど女性に適しています。
特に更年期の女性の不眠に効果があります。
更年期障害に効果を発揮する漢方薬でも詳しく取り上げています。
3-8.桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)虚証
比較的体力のない人に向いています。
気持ちの高ぶりを抑え、穏やかにする漢方薬です。
神経症や不眠、夜尿症に効果があります。
子供の夜泣きや夜驚症に対応し、子供が経験する刺激や興奮などを抑えるのに有効です。
3-9.柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)実証
比較的体力が有り、上半身に熱がこもりやすい人に向いています。
精神的な不安や、動悸がある人の不眠に効果があります。
3-10.抑肝散陳皮半夏(よくかんさんちんぴはんげ)虚証
比較的虚弱で、神経が高ぶりやすい人の不眠に効果があります。
顔色が悪く、怒りっぽく、いらいらして寝付けない人などに向いています。
まとめ
漢方は、不眠となる原因やストレスをだんだんと取り除き、それに対応できる体質づくりを目指します。効果を得るには3ヶ月程の長期服用がおすすめです。
自分に合っている漢方であれば、だんだんと眠れるようになります。