漢方薬は自律神経の改善に効果があります。
自律神経失調症などの西洋医学では治療の難しい症状は漢方の得意なフィールドです。
この記事では自律神経に効果のある漢方薬を症状別にご紹介しています。
ご自身の症状から目安の漢方薬を選んでください。
1.自律神経失調症とは?
自律神経(心身を活動させるときに働く交感神経と、緊張を休めて心身を休息させるときに働く副交感神経)が何らかの原因によってバランスが崩れることにより、体のだるさ、疲れやすい、頭痛、不安感、胃がもたれるなどの症状が起こる病気が自律神経失調症です。
2.自律神経失調症には漢方薬が有効
この、自律神経失調症のような「なんとなくだるいけど病気ではない」という症状の改善は、漢方薬が有効です。特に「気」のめぐりをよくする漢方薬が特に効果があります。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)がその一つで、気の停滞をとる働きがあります。
また自律神経失調症の症状の一つ、喉のつかえにも効果があります。
さらに、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)や、桂枝加竜骨牡蠣湯 (けいしかりゅうこつぼれいとう)なども気のめぐりをよくする代表的な漢方薬です。
症状別の漢方についてもまとめましたので参考にしてください。
3.自律神経失調症の症状別に有効な漢方
自律神経失調症の症状別の漢方薬をまとめました。
これで症状から目安となる漢方を選んで、下の表を見てください。
- 頭痛・めまい…柴胡加竜骨牡蛎湯、半夏白朮天麻湯、五苓散
- 腰痛・肩こり…加味逍遥散、四逆散
- むくみ…五苓散
- パニック障害…柴胡加竜骨牡蛎湯、加味逍遥散
- 冷え…桂枝茯苓丸、当帰芍薬散
- 動悸…加味逍遥散、真武湯
- 耳鳴り…柴胡加竜骨牡蛎湯、釣藤散
- 倦怠感…加味逍遥散、真武湯
- 食欲不振…半夏白朮天麻湯
4.自律神経に効果のある漢方薬15選
4-1.柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)実証
比較的体力のある人で不安感、不眠、イライラ頭痛肩こりなどのある人に向いています。
4-2.半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)虚証
心身ともに疲れやすく、冷え性でうつ傾向の方に向いています。
動悸、めまい、吐き気、気分のふさぎに効果があります。
4-3.加味逍遥散(かみしょうようさん)虚証
女性の自律神経失調症によく効果があります。体力がなく色白の方に向いています。不眠症や眼精疲労などを軽減、軽いパニック障害にも効果があります。
※体格がよく、体力があり、同じ様な症状の方は柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)がよいでしょう。
4-4.桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)虚証
神経の高ぶりを鎮めて気の力を付け、心を安定した状態にします。やせ型で体力がなく、神経質な方に向いています。不安感が強くドキドキする様な動悸、虚弱の人に効果があります。
4-5.四逆散(しぎゃくさん)実~中間証
不眠症や、肩こり、腹痛、精神不安や胃や腸の痛み、イライラに効果があります。
4-6.五苓散(ごれいさん)中間証
口の渇き、尿の出が悪い人のむくみなどに用いられます。
胃からチャプチャプと音がする方、吐き気がある方に効果があります。
五苓散は水分循環を改善する代表的な漢方です。
4-7.抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)虚証
比較的体力がなく、怒りっぽい方に向いています。
不安感、恐怖感、疲労による肩こりなどに効果があります。
4-8.酸棗仁湯(さんそうにんとう)虚証
心身の疲労による不眠やのどの乾き、神経過敏、入眠障害に効果があります。
4-9.女神散(にょしんさん)中間証
冷えやのぼせ、精神不安などの症状が強い時に用いられます。更年期障害や月経不順にも効果があります。
4-10.四物湯(しもつとう)虚証
顔色の悪い人で皮膚の乾燥気味の人に向いています。
冷え性などの血行をよくする漢方です。
4-11.半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)中間~虚証
全身の倦怠感、食欲不振、手足の冷えがある人に向いています。
手足の冷え、胃腸の不調からくるめまいに効果があります。
4-12.釣藤散(ちょうとうさん)虚~中間証
イライラや頭痛、めまい、耳鳴り、不眠などの症状に効果があります。
血圧の高めの人に向いています。
4-13.桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)実証
頭痛やイライラ、自律神経失調症、更年期障害に効果があります。
肩こりがあり、筋肉質で体ががっちりしている人に向いています。
血のつまりをよくします。
4-14.帰脾湯(きひとう)虚証
胃腸虚弱の人の神経症、不眠症、貧血などに用いられます。
血行が悪く、顔色が悪いときや息切れがあるときに効果があります。
4-15.真武湯(しんぶとう)虚証
低血圧で気力がなく、だらだらしてしまう人に効果があります。
冷え性で倦怠感があり、動悸・めまい・倦怠感などの症状がある人に向いています。
参考文献 症状でわかる漢方療法 著者:杵渕 彰 稲木一元
5.漢方薬の購入の仕方
漢方薬は漢方専門の薬局や、一般の薬局、ドラッグストア、病院で購入できます。あなたの状況に合わせて購入してください。
漢方専門の薬局は、漢方独特の「証」や「気」などの体質によってセレクトしてくれるので最も効果が期待できます。しかし、独自の調合をしているところもあり、一般の薬局で買える漢方の市販薬に比べて値段は高価になります。
一般の薬局は、ドラッグストアではメーカーが販売している漢方薬を仕入れて販売しています。
パッケージ化されており購入しやすくなっています。
病院では大手メーカーの番号のついたものが処方されます。効果は市販のものと同じですが、保険が適用になりますから負担は少なくて済みます。
まとめ
自律神経失調症の症状は様々で個人差があり、体のどこに不調があるのか具体的な原因がわからない病気なので、漢方薬の服用にあたってはそれぞれの症状に合わせて使用しましょう。また漢方薬以外の改善方法は「自律神経失調症の4つのタイプと8つの改善方法」を参考にしてくださいね。