燦々と降り注ぐ真夏の炎天下に於いては、ほんの数十分で日焼けをしてしまうこともあります。ジリジリとした感覚のあとに赤くなり、だんだんと黒くなります。またシミの原因となる紫外線A波は季節を問わずに降り注いでいます。
では、夏に作ってしまったシミは、どのようにして消すことができるのでしょうか?
1.日焼けによってできるシミ
日焼けによって現れてくるシミには、以下の種類があります。
1-1.老人性色素斑
中高年以降の方に多く見られ、光老化によって現れるといわれているシミです。光老化とは、長い年月をかけて日常的に紫外線を浴び続けたことにより、数年後~数十年後に現れるお肌の変化を指し、紫外線による体内の活性酸素量の増加などが、その原因ではないかと考えられています。
また、このシミは特定の形に現れるというものではなく、丸い形や不規則でいびつな形など、実にさまざまです。そして、このシミのできはじめは薄茶色ですが、さらに紫外線を浴び続けることにより、濃い茶色に変化して行くこともあります。
1-2.後天性花弁状色素斑
光線花弁状色素斑または日光性花弁状色素斑とも呼ばれることがあるシミで、花弁状に広がって現れるという特徴を持っています。また、このシミは上半身にできやすく、炎天下で紫外線を浴びた直後、すぐに現れることはありませんが、紫外線を浴びてから数年後~数十年後にひょっこり現れることが多いといわれています。
このシミもまた、老人性色素斑に分類され、光老化がその原因となっていると考えられています。
2.シミを薄くするスキンケアとシミ予防
日焼けによってできてしまったシミは、スキンケアまたはインナーケアによって、薄くする効果を期待することができます。
2-1.スキンケア
日焼けによってできてしまったシミは厚生労働省から認可を得られている成分でスキンケアしていきます。
2-1-1.ビタミンC誘導体
ビタミンC誘導体とは本来のビタミンCの肌への吸収力を高めた成分で、できてしまったシミの改善に効果的であるといわれています。
株式会社ナリスコスメティクフロンティア「APPS配合化粧水エンリッチローション」
本体価格:2,800円
APPSという、水溶性ビタミンC誘導体と油溶性ビタミンC誘導体を合体させた成分が配合されており、2層式構造になった画期的な化粧水です。さらに、若返りビタミンとも呼ばれているビタミンE藻配合しているため、日焼けによるシミだけではなく、お肌の乾燥やキメを改善したい方にもおすすめです。
出典:http://www.cycleplus.jp/lineup/lotion.html
2-1-2.ルシノール
大手化粧品メーカー、POLAが開発し、1998年に厚生労働省からの認可を得た、比較的新しい成分です。ルシノールは、メラニン色素を生成する作用があるチロシナーゼという酵素の働きを阻害しますので、どちらかというと、シミができる前の予防に役立つ成分であると考えることができます。
POLA「ホワイティシモ薬用ローション ホワイトEX」
本体価格:12,000円
ルシノールを配合した、ややとろみのある化粧水で、メラニン色素の生成を抑制してシミやそばかすを防ぐ効果を期待することができます。また保湿力も抜群なので、しっとりと明るいお肌に整えてくれます。
出典:http://net.pola.co.jp/beauty/products/html/item/001/020/item19007.html
2-1-3.トラネキサム酸
肝斑の改善に効果的であるといわれているのがトラネキサム酸ですが、トラネキサム酸は紫外線の刺激を受けたメラノサイトの活動を抑える作用を持っていますので、日焼けによるシミの予防や、日焼けによって現れた初期段階のシミ改善効果も期待することができます。
資生堂アクアレーベル「ホワイトアップローション」
本体価格:1,400円
資生堂が開発したm-トラネキサム酸とWヒアルロン酸を配合した化粧水で、さっぱりタイプの(S)、しっとりタイプの(R)、とてもしっとりタイプの(RR)から、お肌に合わせてタイプを選ぶことができます。この化粧水もメラニン色素の生成を抑える働きがありますので、シミ予防対策に適しているといえるでしょう。
出典:http://www.shiseido.co.jp/sw/products/SWFG070410.seam?online_shohin_ctlg_kbn=1&shohin_pl_c_cd=016101
2-1-4.アルブチン
ハイドロキノンの配糖体(ハイドロキノン+ブドウ糖)として知られる成分で、メラニン色素を生成するチロシナーゼの働きを抑制する作用があります。ハイドロキノンよりも刺激が弱いため、いきなりハイドロキノンを使用するのは怖いという場合におすすめの成分です。
常盤薬品工業 なめらか本舗「豆乳イソフラボン美白化粧水」
本体価格:1,000円
アルブチン+豆乳発酵液の力で、メラニン色素の生成抑制効果を期待することができるだけではなく、しっかりと保湿を行うこともできます。シミだけではなく、お肌の乾燥も気になるのであれば、おすすめできる化粧水です。
出典:http://noevirgroup.jp/sana/g/g40647/
2-1-5.ハイドロキノン
美白成分としてあまりにも有名なのが、ハイドロキノンです。ハイドロキノンには、チロシナーゼの働きを抑制する効果や、できてしまったシミに対する改善効果も期待することができます。ただし、強い成分であるため、初めて使用する際には、配合率が低い化粧品を選ぶことをおすすめします。
ロート製薬 エピステーム「HQレーザークリア」
本体価格:13,000円
ハイドロキノン、アスコルビン酸、トコフェロール、ツボクサエキスを配合した夜のケア専用の美容液です。この美容液は、顔全体手につけるのではなく、シミが気になる部分にピンポイントでつけるタイプです。また、製品の案内ページにも記載されていますが、現在までに美白剤や毛染めなどでアレルギーを引き起こしたことがある場合には、使用することができません。
出典:http://www.episteme-net.jp/cliniscience/hq_laserclear/
<注意点>
お肌が過敏な反応を示した場合には、直ちに使用を中止して様子を見ましょう。また、万が一炎症やお肌のヒリヒリ感、痒みなどが発生した場合には、ひとまず皮膚科で診察を受けて下さい。
ハイドロキノンをつけたお肌が紫外線に当たらないように注意するなど、いくつかの注意点がありますので、使用方法を確認してから使うようにしてください。
身体の内外から日焼けによるシミを改善する場合には、それぞれの成分の性質をきちんと理解して、正しい方法で使用しましょうね。
2-2.インナーケア
インナーケアでシミ改善を目指すのであれば、ビタミンC、L-システインを配合した内服薬がおすすめです。
2-2-1.ビタミンC
美白成分としてよく知られているビタミンCは、お肌から取り入れる場合ではビタミンC誘導体に加工しなければなりませんが、インナーケアとして用いるのであれば、本来のまま体内に取り入れることによって、シミ改善効果を期待することができます。
武田薬品工業株式会社「ハイシー1000」
本体価格:24包 1,280円、48包 2,300円
2包で、1日の最大摂取量である2000mgのビタミンCを補給することができる第3種医薬品です。この内服薬の服用によって尿が黄色くなることがありますが、これは配合されているリボフラビン酪酸エステルの影響によるものですので、心配はありません。
出典:http://takeda-kenko.jp/products/vitamin/hic_sen.html
シオノギ製薬「シナール」
容量:シナールA細粒 30包(1.3g×30),60包(1.3g×60)/シナールAカプセル 90カプセル/シナールS錠 200錠,300錠
ビタミンCを主成分とした内服薬ですが、トラネキサム酸も配合されており、シミやソバカス、日焼けによるシミの改善効果を期待することができます。
出典:http://www.shionogi-hc.co.jp/wellness/medicine/vitamin/cnl/cnl.html
3.シミを消す美容療法
日焼けによるシミは、ひとまずご自身でケアをしてみることがおすすめですが、なかなか改善効果を実感することができないのであれば、医療機関による美容療法を受けるという方法もあります。
3-1.レーザー治療
レーザー治療器は数種類に分類されており、日焼けによるシミを改善する場合には、QスイッチルビーレーザやYAGレーザーなどのレーザ治療器が用いられています。レーザー治療は、照射そのものは数秒間~数分間で終了しますが、治療後30分以内を目途にお肌が赤く腫れ、炎症のような状態になることがあります。
また、治療後には医師の指示に従って治療部位をテープで保護しておく必要があり、1週間~10日前後で、治療を行った部分がかさぶたとして剥がれます。
3-2.ケミカルピーリング
サリチル酸やグリコール酸などの薬剤で角質を溶かし、シミを改善して行く治療法です。この治療法は、古くなった角質層を人工的に剥がす方法で、タンオーバー周期の正常化にも役立ちます。また、この治療を行った直後のお肌は角質層が極端に少なくなっているため、とてもデリケートな状態となっています。治療直後には直接紫外線を浴びないように注意しましょう。また、保湿不足でお肌が乾燥してしまうことも考えられますので、この治療でシミ改善を目指すのであれば、紫外線対策と保湿対策は万全に行う必要があります。
3-3.フォトフェイシャル
レーザーとは異なった、IPLという特殊な光によってシミを改善して行く治療法です。この治療法は、皮下のコラーゲン増殖作用を見込むことができ、お肌の若返り効果も狙うことができます。
3-4.美容注射
医療機関では、シミ対策として、高濃度ビタミンC注射や、トラネキサム酸を配合した美白注射などの治療法が用意されています。この治療法のメリットは、内服薬よりも早い効果を期待することができるという点にあります。
3-5.ヘリオケア
“飲む日焼け止め”としてよく知られているヘリオケアは、体内に有効成分を送り込むことによって、紫外線による日焼け予防効果を期待することができる内服薬です。この内服薬は、できてしまったシミに対する効果は弱いと考えられますが、今後、夏の日焼けやお子さんのサッカーや野球の応援などで紫外線を浴びてしまう前に服用しておけば、紫外線対策として役立ちます。
3-6.ハイドロキノン&トレチノイン
医療機関では、5%以上の高濃度でハイドロキノンを配合している軟膏を取り扱っています。また、ハイドロキノンの浸透力を高める目的で、トレチノインが同時に処方されることもあります。これらの薬を用いた治療法では副作用が現れることがありますので、この部分については、必ず医師から詳細な説明を受けておく必要があります。
4.日焼けによるシミを作らないために
日焼けによってできてしまったシミは、身体の内外から根気よくケアを行って行くしかありません。そして、今後シミを作ってしまわないためには、しっかりと紫外線対策を行って行く必要があります。
4-1.日焼け止めクリーム
日焼け止めには「SPF」と「PA+」という表示があります。
まず「SPF」ですが、これは日焼け止めの効力を時間で示したもので、1SPFは約20分間となっています。たとえば「SPF30」となっている場合では、20分×30=600分となり、約10時間の紫外線B波のブロック効果を期待することができるということになります。
そして「PA+」ですが、これは紫外線A波に対するブロック効果を示したもので、数値で表すことはできません。+の数は1~4までとなっており、+の数多くなるほど紫外線A波に対するブロック効果が高くなります。
また、日焼け止めは汗などで流れてしまうことも考えられますので、外出の際には、必ず持ち歩いてその都度塗り直すようにしましょう。
4-2.日傘
日傘もまた、紫外線対策に便利なアイテムですが、白色系の製品よりも黒色系の製品のほうが紫外線の吸収率は高くなります。日傘を選ぶ際には機能性重視で、なるべく黒色系のデザインの製品を選ぶと良いでしょう。
4-3.衣類
最近では、紫外線ブロック加工が施されている衣類が数多く販売されていますので、特に紫外線の放射量が増える夏場には、このような衣類を上手に活用すると良いでしょう。
紫外線ブロック加工がされていない洋服の中ではビニロン、ポリエステル、羊毛が紫外線をカットしてくれる素材です。
また、紫外線を通しにくい色は黒やカーキーなどの濃い色です。
4-4.帽子
お肌の日焼け対策も大事ですが、頭皮の紫外線対策も忘れてはなりません。頭皮は直射日光をダイレクトに受けやすく、日焼けしてしまった場合には、頭皮の乾燥や痒みなどの症状が現れてくることがあります。お子さんのサッカーや野球の応援で日傘の使用が難しい状況のときには、ぜひ、帽子をうまく活用してみて下さいね。
まとめ
以前に浴びた紫外線の影響を受けて、経年変化としてシミが現れることがあります。できてしまったシミに対しては、とりあえず今回ご紹介した対処法でケアを行うことをおすすめしますが、今後はシミを作らないためのケアを行って行くことも大切です。特に紫外線の放射量が多い季節に屋外で長時間過ごす場合には、必ず紫外線対策を行って、安心して出かけましょう。