タバコによって失われるビタミンってサプリで補えるの?

タバコを1本吸うと25～40㎎程度のビタミンCが失われるといわれます。
タバコに含まれるニコチンは血液に乗って肝臓に運ばれ、そこで分解されますが、この時に大量のビタミンCが使われるのですね。
また、タバコを吸うとこれに含まれる有害物質を除去しようとして、体は活性酸素を作り出しますが、これもまたビタミンCの損失につながります。
タバコによって失われたビタミンCは、食品やサプリメントで補うことができるのでしょうか?

１．タバコで失われるビタミン

タバコを吸うと大量のビタミンCが失われるため、次のような弊害が出やすくなります。

１-１．免疫力が低下する

ビタミンCには白血球の働きをサポートする作用があるので、不足すると白血球がウイルスや細菌と戦う力が弱くなり、病気にかかりやすくなります。
「昔に比べて風邪をひきやすくなった」という方、それは喫煙のせいかも?
活性酸素に対抗する力も弱くなるので、細胞がサビついて老化が進み、シミやシワが多くなったり、細胞が傷ついてガンが発生したりするケースもあります。
よく「タバコを吸うとガンになる」といわれますが、これは本当のことなのです。

１-２．壊血病の発症リスクが高まる

壊血病は毛細血管がもろくなることから出血しやすくなる病気で、ビタミンC不足によって起こります。
昔は、海上にいて十分に栄養を取ることのできない船乗りに多かった病気ですが、現在ではタバコをよく吸う人にも同様の症状が見られ、悪化すると全身から出血したり、歯が抜けてしまったりするようになります。
放置するとやがて死に至ることもあるので、おかしいと思ったらすぐに病院へ行くようにしましょう。

２．喫煙者に必要なビタミンCは1日110㎎

タバコを吸う人はビタミンCの消費が激しいので、一般的に必要とされる量を食べ物から摂るだけでは不足しがちです。
できれば禁煙をするのが望ましいですが、どうしてもタバコをやめられない場合は、成人に必要なビタミンCの摂取量に1日分あたり35㎎上乗せして摂るようにしましょう。
参考までに平均摂取量を表にしたので、自分に該当する項目をチェックしてみてください（1日あたりの摂取推奨量です）。

表．ビタミンＣの摂取推奨量

成人男性	90㎎
成人男性喫煙者	125㎎
成人女性	75㎎
成人女性喫煙者	110㎎

出典：http://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/09.html

３．ビタミンCをサプリで補うには?

ビタミンCは野菜や果物に多く含まれていますが、水溶性ビタミンなので、時間がたてば尿や汗と一緒に外へ排出されてしまいます。
そのため、よほど栄養に気を配って食事をしないと、タバコを吸わない人でも慢性的なビタミンC不足に陥ってしまうのです。
タバコを吸う人なら余計に気を付けねばなりませんね。
しかし、忙しい現代人はつい毎日の食事を簡単なもので済ませがち。
温めるだけですぐに食べられるレトルト食品や、手軽でおいしいファーストフードなどの食品にはほとんど栄養が含まれていない上、添加物が活性酸素を発生させる原因になるので、ビタミンCの大敵なのです。
簡単なもので良いので、できるだけ素材から調理したものを食べることが大切。
お店で食事をするなら、パスタや丼ものなどの一品料理ではなく、品数の多い定食を選ぶと良いでしょう。
それでも栄養が不足してしまう場合は、市販のサプリを使うと手軽に摂取することができます。

３-１．ビタミンCサプリの上手な飲み方

水かぬるま湯で飲むだけ、という手軽さから、一度に多くのサプリを飲んでしまう人もいますが、ビタミンCは時間がたてば排出されてしまうので、そんなことをしてもあまり意味がありません。
過剰摂取すると一時的にお腹が緩くなることもあるので、必ず決められた摂取量を守って飲むようにしましょう。
大切なのは、朝～晩まで体内にまんべんなくビタミンCを維持できるようにすること。
そのためには、1日分を一度に飲むのではなく、数回に分けて飲んだほうが効果的です。

３-２．1日にどれぐらいの量を摂れば良い?

ビタミンCの安全な上限値は、成人で2000㎎。
しかし、タバコを吸うからといって、ここまで多くの量を摂る必要はありません。
よほど偏った食生活ではない限り、食べ物からもある程度の量は自然に摂れているので、サプリから摂取する分は110～1000㎎ぐらいに抑えると良いでしょう。

３-３．サプリを飲むのに適したタイミングは?

数回に分けてサプリを飲むのであれば、最も血中濃度が高くなる食後3時間ぐらいがおすすめ。
つまり「食間」に飲むということです。
ただ、職業によっては自由にサプリを飲む時間がとれないこともあるし、後で飲もうと思っているうちに忘れてしまうこともあるので、その場合は毎食後に飲んでもかまいません。
「1日に何度も飲むのが面倒くさい」という方は、寝る直前に飲むと良いでしょう。
眠っている間は尿を作り出す腎臓の働きが鈍くなるので、ビタミンCの排出量を最小限に抑えることができます。

３-４．ビタミンＣとセットになったコラーゲンがいい

喫煙によって減ってしまうビタミンＣを補いながら、合わせてコラーゲンが含まれるサプリメントの摂取がおすすめです。コラーゲンの寝る前の摂取が効果的なため、タイミングも同じで効率がよくなります。
喫煙者を対象にした臨床試験を行っているコラーゲンサプリメントもあります。

４．ビタミンCが豊富な果物･野菜

かんきつ類（100gあたりの含有量の目安）

オレンジ……40㎎
濃縮還元オレンジジュース……42㎎
グレープフルーツ……36㎎
濃縮還元グレープフルーツジュース……53㎎
レモン果汁……50㎎
ゆず果汁……40㎎

その他の果物（100gあたりの含有量の目安）

キウイフルーツ……69㎎
いちご……62㎎
カンタロープメロン……36.7㎎
柿……70㎎
パイナップル……27㎎

野菜（100gあたりの含有量の目安）

赤ピーマン……170㎎
黄ピーマン……150㎎
緑ピーマン……76㎎
ブロッコリー（ゆで）……54㎎
ベイクドポテト……9.6㎎
トマト……15㎎

これらの食品を積極的に取り入れ、栄養バランスの良い献立を作っていきましょう。

５．電子タバコでもビタミンCは減る?

電子タバコは、充電式の容器にリキッドを注入して加熱し、出てきた蒸気を吸うというもの。
一般的なタバコと違って火を使わないから危なくないし、体に有害なタールも出ないとあって、今世界中で爆発的に売れている人気商品です。
普通のタバコを吸うのと基本的な動作は変わらないため、禁煙への第一歩として取り入れる人も多いそうです。
しかし、肝心のビタミンCへの影響はどうなのでしょうか?

５-１．日本国内で販売されている電子タバコの場合

現在（2017年）のところ、日本国内ではニコチンを含む電子タバコの販売が許可されていません。
そのため、タバコの代わりに吸ったとしてもビタミンCが減る心配はしなくても大丈夫でしょう。
ただ、日本で売られている電子タバコからは、たった5分の吸引で巻タバコ1本分の約110倍もの発がん性物質が検出されたという厚生労働省の報告もあるので、健康が気になる方はあまり使わないほうが良さそうです。よく吟味してください。

５-２．海外製の電子タバコの場合

海外では電子タバコのリキッドにニコチンを配合することが認められているので、個人輸入してこれを使う場合、普通のタバコと同様ビタミンCの損失につながります。
また、海外の電子タバコは製造方法や原料を曖昧にごまかしているものが多く、運悪く粗悪品を購入すると思わぬ健康被害を受ける危険性があるので、よく調べて信頼できる業者を選ぶようにしましょう。
ニコチン入りのリキッドは少量でも致死量になるほど毒性が強いため、子供の手が届かないところに保管する工夫も必要です。

５-３．加熱式タバコの場合

加熱式タバコには「アイコス」「グロー」「プルーム･テック」などの種類がありますが、これはタバコの葉を電気で温めて加熱するもの。普通のタバコに比べて臭いや煙が出にくいという特徴があります。
タバコ独特の臭いやもくもくと上がる白い煙は周りに嫌がられることも多いので、それが気にならないというのは嬉しいです。
ただ、加熱式タバコにはニコチンが含まれているので、吸えばビタミンCが消費されてしまいます。
普通のタバコに比べれば、その他の有害成分もかなり低く抑えられていますが、決して体に害がないというわけではないので気を付けましょう。