極度の不安感や相手を傷つけてしまうほどの攻撃性、時には暴力的な行為まで行ってしまうのがPMDDです。
PMDDは月経前不機嫌性障害(英:Premenstrual Dysphoric Disorder)の略です。
その気分の悪さはPMDDから来るものなのでしょうか。以下に詳しくまとめました。
1.PMDDという病気
1カ月のうちで生理前になるとイライラや胸の張りなどの症状がでるのが月経前症候群(PMS)です。
PMSに似た症状でそこからさらに精神面の症状が重くなったのがPMDDです。
月経のある女性のうち3~8%がPMDDの診断基準を満たしているといわれますから、この病気で悩んでいる人も実は多いのです。
PMDDの症状は強いうつ、悲壮感、不安感、緊張感、絶望感、感情をコントロールできない、他人にひどい言葉を言う、暴力的になる、無気力、物事を決断できない、仕事に集中できない、人に会いたくない、過食、過眠・不眠、体が膨らんでいる感覚などがあります。
PMSは精神的・肉体的な症状が多くありますが、精神的な症状が特に重くなって社会的な生活に支障がでるくらいになるとPMDDと診断されます。
症状が現れる期間はPMSと同じく生理の前ですが、個人によってパターンが違います。
2.PMDDの診断基準
まずPMDDは過去1年間において、著しい抑うつ気分や著しい不安、緊張、興味の減退などの11の症状のうち5つ以上があてはまり、その中で抑うつ気分、絶望感、自己卑下、不安、緊張、情緒不安定、持続的な怒り、怒りやい、他人との摩擦の増加のうち1つ以上があるというのが診断基準です。
またこれらの症状は黄体期の後半に起こって卵胞期の2、3日以内に無くなりはじめ、月経が終わった1週間はまったく無くなります。
月経が終わってもまったく症状が無くならない場合は別の精神疾患の可能性があります。
出典:http://www.mentalclinic.com/womens_utsu/pmdd.html
3.PMDDのセルフチェック
PMDDのセルフチェックリストも紹介します。
2で紹介した診断基準ををわかりやすい言葉で表しています。厚生労働省が運営するホームページです。
出典:http://w-health.jp/self_check/self_check_08/
4.精神科を受診する
PMSはまず婦人科を受診しますが、PMDDの場合は精神科を受診します。
自分がPMSかPMDDかの判断がつかない場合も多く、医師でも判断が難しいようです。
重いPMSなのか、軽いPMDDなのかは治療の方法が変わるために慎重に判断されるべきです。
PMSで行われる低用量ピルなどによるホルモン療法はPMDDにはあまり効果がないことから、どちらかといえばPMDDかも思えば精神科を受診するようにします。
ただPMDDの知識の乏しい医師もいるために、電話で予約をする際にPMDDも診察しているか確認をするようにします。
5.専門医
PMDDの専門医は東京女子医科大学東医療センターの精神科、山田 和男氏が有名です。
東京女子医科大学東医療センター 精神科
http://www.twmu.ac.jp/DNH/department/psychiatry/
6.PMDDに関する図書
月経の前だけうつ病になってしまう女性たち―PMDD(月経前不快気分障害)を治す 山田 和男著
国内ではPMDDに関する本はほとんどありません。
こちらは一般の患者さん向けにPMDDに使用する薬や治療に必要な期間・注意点などが詳しく書かれています。
7.PMDDの治療方法
PMDDの治療方法はSSIR(選択的セロトニン再取込み阻害薬)という薬を用いて行われます。
カウンセリングでは顕著な効果は期待できないとされています。
7-1.抗うつ剤
選択的セロトニン再取込み阻害薬
(selective serotonin reuptake inhibitor:SSRI)
PMDDと診断されるとはじめに使用されるのがSSRIです。SSRIは抗うつ薬の一種でフルボキサミン、パロキセチン、セルトラリンの3つがあります。
まず推奨されるのはパロキセチン、セルトラリンです。
いずれの薬でもPMDDの人の50~65%に効果があります。
飲み始めは胃の不快感や吐き気などの副作用が10~20%の人にあります。
服用期間
治療中はSSRIを症状が出ているときだけ2~4カ月にわたって飲みます。それでも効果が無い時は継続的に飲みます。
効果があって症状が治まっても、飲むのをやめるとPMDDは再発しやすいので1年ほどは予防的に服用します。
7-2.漢方薬
加味逍遙散(かみしょうようさん)
加味逍遙散を継続的に飲むことによって30人中、14人にPMDDの症状がよくなったというオープン試験があります。
SSRIに抵抗があるという人は2カ月などと期限を区切って漢方薬治療を行うのもひとつの方法です。
8.自立支援医療による補助
PMDDで病院にかかっても健康保険が適用されます。
さらに地方自治体によって自立支援医療の対象と認められると、自己負担3割のところが1割の負担で済むようになります。
自立医療支援の対象となるにはうつ病などの気分障害と判断される場合です。
治療が長引いて経済的な負担が大きくなりそうな時は役所に相談してみるとよいでしょう。
出典:http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsu/dl/03.pdf
自立支援医療受給者証 東京都福祉保健局
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/chusou/tetuzuki/tetuzuki.html
参考図書
月経の前だけうつになってしまう女性たち 山田和男著 講談社
まとめ
PMDDについてまとめました。
PMDDは放っておくとうつ病などに移行していってしまう場合もあって早期に治療するようにします。