30代後半からガクンと落ちる気がする「肌水分」。
肌がカサカサしてもうどうしていいかわかなくなっていませんか?
冬以外でも1年中、肌がカサカサしているのはどうしてでしょうか。
肌のためにスキンケアをしているのにカサカサが治らずにイマイチってこともありますよね。
しっとりとした肌を取り戻すために、今回は乾燥肌の原因と乾燥肌を脱却するための対策をご紹介します。
1.乾燥肌のメカニズム
乾燥肌はバリア機能が壊れて水分を保持する力が弱くなっています。バリア機能が低下すると、外的な刺激(紫外線、ホコリ、ダニ、花粉など)を受けるとその刺激から守るために角質層が厚くなろうとします。そのため肌のターンオーバーのリズムが速くなって形が不揃で未熟な細胞が角質層に出てくるため水分が逃げやすく乾燥肌になりやすくなります。
2.肌バリアのしくみ
肌のバリアは「皮脂膜」「天然保湿因子」「角質細胞間脂質」の3つの物質で成り立っています。この3つの物質が十分にある状態のときはバリア機能を保つことが出来ます。
- 皮脂膜・・・肌表面には皮脂と汗が混ざり合ってできた皮脂膜があります。肌にある水分の蒸散を防いだり、外部からの刺激から保護する働きなどがあります。
- 天然保湿因子(NMF)・・・角質細胞内にあるアミノ酸、乳酸、尿素、クエン酸塩など保湿作用のある成分の総称です。角質細胞が潤いを保つために必要な物質です。
- 細胞間脂質・・・セラミドなどからなる脂質です。角層細胞と角層細胞の間にある細胞間脂質も水分を逃さない重要な役割を担っています。
3.乾燥肌になる8つの原因
3-1.乾燥しやすい体質
乾燥肌は皮脂の分泌量が正常の肌より低下しています。
皮脂の分泌量が少ないのは、生まれつき皮脂腺が少なかったりする体質によるものです。
皮脂によってつくられる皮脂膜は乾燥や外的な刺激から皮膚を守っていますから、皮脂の量が少ないと紫外線、ホコリ、ダニ、花粉などの影響を受けやすくなります。
3-1-1.皮脂の分泌量
皮脂の分泌量は性差もあります。女性より男性の方が多いのです。
男性の方が皮脂腺が大きく、皮脂の分泌量も多いのは男性ホルモンの働きによるものです。
女性は女性ホルモンが皮脂の分泌を抑制させるように働き、男性ホルモンが少ないため皮脂腺は小さくて皮脂の分泌量も少なくなります。
そして40代になると卵巣機能が衰えてきてさらに皮脂の分泌量が減少します。
女性は男性と違って皮脂の分泌量は大きく減少します。
3-1-2.皮脂膜を保つ対策
また、環境の変化、季節の変化によっても皮脂の分泌量は変わります。
皮脂の適度な分泌を保つために次のような対策をします。
- 過度の洗顔は必要な皮脂と水分を奪ってしまいます。清潔にすることは大切ですが、1日に何度も洗顔しないようにします。
- 外的な刺激(紫外線、ホコリ、ダニ、花粉など)から肌を守るために日焼け止めやメイクなどで対策を行います。
- 夏場でもしっかりと乳液やクリームを使って水分を逃さないようにします。毎日スキンケアをして潤いを保つようにします。
- 内側からも油分を取るようにします。皮脂膜にはレシチンを多く含む食品(大豆、ごま油、小魚など)が良いです。偏った食事や加工食品は避けるようにします。
- コラーゲンの多い食事やコラーゲンサプリメントなどでコラーゲンを補給すると皮脂が分泌されるようになります。
3-2.室内の冷暖房による乾燥
室内の冷暖房によっても肌が乾燥します。
冬は温度や湿度が下がるとともに肌の水分量も低くなっています。室外の空気も乾燥していて、さらに室内で暖房するときに冷たい空気を温めることで空気が乾いてしまうからです。電気カーペット、コタツなども肌の水分が奪われやすいです。
部屋の湿度は肌に優しい60~65%になるようにしましょう。
夏は冷房の効いた部屋にいると室内と外の温度差によって汗をかいたり冷やされたりの繰り返しで肌が乾燥しやすくなります。
3-2-1.室内の乾燥対策
- 室内に加湿器や観葉植物などで湿度を保つようにします。職場ではデスクに水分を蒸発させるペーパー加湿器を置いたりして乾燥を防ぎます。
- スキンケアとメイクで水分の蒸発を防いで対策を行います。
- マスクをして過ごすことで口元の肌がしっとりします。
- 水分を体内から補給して肌のカサカサや髪のパサパサを防ぎます。1日に必要な水分量は1.2リットルです。
3-3.紫外線による乾燥
紫外線を浴びることでバリア機能は低下して、乾燥肌になりやすくなります。
紫外線は1年中、降り注いでいます。夏も冬も紫外線対策をしっかりと行います。
地上に降り注ぐ紫外線にはA波とB波があります。
- UV-A・・・紫外線A波は肌の真皮まで到達します。コラーゲンやヒアルロン酸などの保湿成分を作り出す繊維芽細胞が破壊されてしまいます。肌の弾力や水分が失われてシワやたるみの原因になります。
- UV-B・・・紫外線B波は肌の表皮にあるメラニンを活性化して、肌に色素沈着を引き起こします。炎症やシミの原因になります。
3-3-1.紫外線対策
- 日焼け止めやメイク、日傘、帽子で紫外線対策をします。
- 美白効果のあるスキンケアを取り入れます。
日焼け止めクリーム
日焼け止めのSPFとPAの表示で目的に合った日焼け止めクリームを選びます。
日焼け止めクリームは皮脂や汗で落ちてしまったり、衣服でこすれたりすると日焼け止めクリームが落ちて効果がなくなってしまいます。こまめに日焼け止めクリームをつけて紫外線対策を行います。
SPF
SPFはUV-Bを防止する時間を目安にした数値です。日焼けを遅らせることです。
SPF30の場合は
日焼けするまでに(紫外線を浴びてから赤い炎症を起こす状態まで)20分かかる人がSPF30の日焼け止めを塗ると600分(10時間)もつことになります。
20分×SPF30=600分
SPFの高い値は肌に負担がかかりますので、SPF30くらいのものをこまめに塗るようにします。
PA
PAはUV-Aを防ぎます。防御効果を「+」として4段階の効果で表示されます。
- PA+ UV-Aの防御効果がある
- PA+ + UV-Aの防御効果がかなりある
- PA+ + + UV-Aの防御効果が非常にある
- PA+ + + + UV-Aの防御効果が極めて高い
洋服・帽子・日傘の色と素材で対策
UVカット素材はカーボンやセラミック、チタンなどを素材に含ませて紫外線を防ぎます。
UV加工していないものでもブラックの色は紫外線を防ぐ力が高くなります。
洋服や帽子、日傘を選ぶときに参考にしてください。
3-4.間違った洗い方による乾燥
3-4-1.クレンジング料と洗顔料
- クレンジング料のシートタイプやオイルタイプを使うと乾燥肌の原因になります。
シートタイプのクレンジング料は肌を拭くことで摩擦が生じて肌に刺激を与えてしまいます。オイルタイプのクレンジング料は汚れと一緒に肌の保湿成分を落としてしまうことで肌が乾燥しやすくなります。 - 洗顔を繰り返すと必要な保湿成分も洗い流してしまいます。1日に何度も洗うことでバリア機能がなくなり乾燥してしまいます。
洗い上がりの肌がヒリヒリ感やツッパリ感などの違和感があるようならば肌に負担がかかっています。乾燥肌の原因にもなります。
3-4-2.クレンジング料と洗顔料での対策
洗顔をするときに行いたい対策は次のとおりです。
- 乾燥肌は26~28度の温度で必要な皮脂や水分を奪われないよう洗い流します。
- 乾燥肌のクレンジング料のおすすめはミルクタイプとクリームタイプのクレンジング料です。肌に刺激を与えずに肌とクレンジング料が馴染んで油分や汚れを肌に浮かせることが出来ます。
- 洗顔料はたっぷりの泡で優しく丁寧に洗うようにします。洗い上がりがヒリヒリ感やツッパリ感があるようなら洗顔料を変えます。
- W洗顔後はたっぷりの水分と油分を補給してスキンケアをして乾燥から守ります。
3-5.入浴による乾燥
入浴方法を間違えていることも乾燥肌の原因となります。
3-5-1.長湯で保湿成分が流れる
特に注意しなければいけないのは高温のお湯に長くつかることでセラミドなどの細胞間脂質や天然保湿因子(NMF)が流されてしまうことです。
細胞間脂質
細胞間脂質にあるセラミドは約50%を占める主成分です。セラミドが減少すると角質細胞を支えるのが難しくなり角質層に隙間が出来てしまいます。
入浴時の注意点
- 42度以上の高い温度はセラミドの機能を崩してしまいます。お湯に長く浸ると皮脂とセラミドがお湯に流されてしまい乾燥してしまいます。
- 入浴に使用する水道水には塩素が含まれています。塩素は細胞を酸化させて傷つけてしまうため乾燥してしまうこともあります。
- 体を洗うときはナイロンタオル、スポンジを使わないようにします。角質を傷つけてしまうことがあります。
3-5-2.入浴対策
- 38~39度のぬるま湯の温度で湯船に5分くらい入浴します。入浴後、ローションやオイルで保湿してから水分を拭き取ります。
- 湯船に入浴剤を入れて水道水の塩素を弱めます。入浴剤による保湿成分で肌の乾燥を防ぎます。
- ボディーシャンプーや石鹸を全身に使う必要はなく、脇、股間、足の裏など気になるところだけ手で泡立てて使いましょう。
3-6.下着による乾燥
化学繊維の下着ではチクチクしたり、かゆくなったり、赤みがでたりします。
下着の素材の種類によっても乾燥が引き起こされることがあるのです。
特に機能性インナーの発熱性素材は乾燥肌の人が使用するときは注意します。
3-6-1.下着での対策
- 直接肌に触れる下着は天然素材のシルクやコットンにします。締め付ける下着よりゆったりしたサイズを選びます。天然素材の下着は、肌に優しく、適度な吸湿性や通気性、保温性があり肌が乾燥しにくいです。
- 洗濯するときは重曹や石けん成分の洗剤を使って洗うと肌に優しいです。
3-7.食生活の乱れによる乾燥
食生活が乱れていると肌が乾燥したり荒れたりします。偏った食事やダイエットは肌に栄養素が届かなくなります。
- インスタント食品、スナック菓子
- ジュースなどの糖質、添加物の多い飲料水
- カフェインやアルコール、香辛料などの刺激物
- 冷たい食べ物や飲み物
これらの食べ物の取り過ぎは肌の乾燥につながります。
肌の状態は食生活による体内ケアで6~7割でが決まるといってよいほどです。
3-7-1.食事による対策
栄養バランスの取れた食事を1日3食とるようにしましょう。
特に乾燥肌に良い栄養素がありますから取り入れてください。
- セラミドを含む食べ物・・・こんにゃく芋、米、大豆、乳製品、ほうれん草など
- コラーゲン含む食べ物・・・フカひれ、豚足、手羽先、豚バラ、ゼラチンなど
- ビタミンABCEを含む食べ物・・・うなぎ、豚肉、鶏肉、大豆、ナッツ類、緑黄色野菜、バナナ、キウイなど
コラーゲンたっぷり乾燥対策レシピ
材料(4人前)
- ホウレン草 1袋
- にんじん 大1本
- ねぎ 1本
- 豚肉ロース薄切り 400グラム
- 砂糖 大さじ1
- 醤油 大さじ2
- 酒 大さじ2
作り方
- にんじんは細切りにしてほうれん草と下茹でする。
- ねぎは斜め切りにして、ほうれん草とにんじんとを豚肉で巻く。
- フライパンで焼いて、肉に火が通ったら調味料を混ぜて入れる。
- 肉にたれが絡んだら完成。
ねぎの触感がシャキっとして美味しいです。
3-8.睡眠不足による乾燥
睡眠が十分取れていると肌は良い状態になります。
逆に睡眠が不足すると肌が乾燥してきます。
3-8-1.短い眠りは水分が逃げる
この試験によると睡眠不足は肌からの水分の蒸散量が多くなります。3時間と6時間の睡眠では3時間の睡眠の方が水分蒸散量の割合が多くなるという結果が出ました。
3-8-2.深い眠りが肌を回復させる
深い眠りの時に成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンが分泌されるときは、肌が修復されるときです。睡眠不足は新しい肌に生まれ変わらせる力が弱くなってしまいます。
3-8-3.快眠対策
しっかり睡眠をとるためには睡眠を取る数時間前から脳を興奮させないようにします。
- スマートフォンやパソコン、テレビなどは脳を刺激してしまい寝付きを悪くしてしまいます。寝る前には控えるようにします。
- アロマオイルをガーゼやハンカチ、ティッシュなどに1~2滴垂らして枕元に置くと睡眠に入りやすくなります。
まとめ
乾燥肌の原因と乾燥肌から脱却するための対策をご紹介しました。
今まで間違った対策をしていたり、まだ見落としていた原因もあったかもしれません。
原因を正しく知って潤いのある肌になってください。