生理前はココロもカラダも疲れてしまって、日常生活に支障があることもあります。
1ヶ月に1度訪れてくる不調を逃れるにはどうしたらいいでしょうか。
生理前の不調の改善の方法をご紹介します。
1.どこからが生理痛で、どこからがPMSか?
生理前にイライラしたり、腹痛や頭痛などの体の不調が起こるのは月経前症候群(PMS;premenstrual syndrome)かもしれません。これらの症状はひと昔であれば、我慢して済ませていたものですが、最近になってPMSという病気なんだということがわかってきました。
PMSは生理の3~10日前に症状が現われます。PMSの症状はイライラや胸の張り、腹痛などがありますが、生理が始まると症状がなくなるのが特徴です。
対して生理痛は生理の開始ころから下腹部の痛みや腰痛、頭痛などの症状が起こります。一般的には生理の初期に症状が強く出やすいです。
PMSと生理痛の境ははっきりしませんが、移行する型にはいくつかのパターンがあり、個人によっても違うし、生理のたびに違うこともあります。
2.PMSの症状
生理前の不調にはどのようなものがあるでしょうか。
その症状を見てみましょう。
もっとも多く感じるのが精神的なイライラです。
普段であれば何でもないことが、見過ごすことが出来ずにカッとなったり、攻撃的な口調で問い詰めたりしてしまいます。
強い眠気が襲ってきたり、集中力が低下していつも通りに考えられないなどもPMSの症状です。
身体的な症状は胸の張りや頭痛、腹痛、むくみ、肌荒れ、肩こりなどがあります。
これらの症状は大きく分けると3つの不調に分類されます。
- セロトニンが低下して起こる不調
- 自律神経の乱れで起こる不調
- 女性ホルモンの乱れで起こる不調
これらの3つの不調の原因と緩和する方法をご紹介します。
3.セロトニンが低下して起こる不調
3-1.セロトニンが低下して起こる症状
生理前になると黄体ホルモンと卵胞ホルモンが関与してセロトニンが低下してしまうことで、カッとなりやすかったり、イライラしてしまったりします。
セロトニンとは神経伝達物質のひとつで精神を落ち着かせる働きがありますが、その作用が低く抑えられてしまうのです。
三大神経伝達物質にはセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンがあって、それぞれがバランス良く働くことで心を整える作用があります。
3-1-1.イライラ、攻撃的、集中力の低下
セロトニンの分泌が急激に低下することで、ドーパミンやノルアドレナリンとのバランスが崩れてしまいます。こうなるとイライラ・攻撃的・集中力の低下などの精神疾患になりやすくなります。
3-1-2.頭痛
生理前にセロトニンの分泌が急激に低下することで、脳内の血管が拡張し神経が刺激されて頭痛が起こりやすくなります。
3-1-3.眠気
セロトニンは睡眠と関係するメラトニンというホルモンの材料です。セロトニンが不足するとメラトニンの分泌量も減って睡眠不足や浅い睡眠になります。熟睡できなくて昼間に眠気が襲います。
3-1-4.食欲増進
生理前はセロトニンの分泌が急激に低下してしまい、血糖値を一定に保つことが難しくなります。血糖値が低下することで食欲が増えてきます。
3-1-5.攻撃的
血糖値が下がると血液中のブドウ糖の濃度を保つために、アドレナリンという物質が分泌されて攻撃的になりやすくなります。
3-2.セロトニンが低下したときの対策
生理前にセロトニンが減少してきたときの対策をご紹介します。
セロトニンを増やすためには次のような生活を送ります。
セロトニンは急には増えませんから、活性するにはおよそ3ヶ月くらいの継続が必要となります。自分のペースで生活習慣を整えましょう。
3-2-1.早寝早起き
セロトニンは朝日を浴びると活発になりますが、夜は分泌が少なくなります。早起きし朝日を浴びて規則正しい生活リズムをつくります。
3-2-2.運動
単調なリズム運動を行うとセロトニンが活性化されます。ウォーキングやヨガ、フラダンスなどのリズム運動をします。
3-2-3.食事
セロトニンを増やす食材は、トリプトファンを多く含む食べ物を選びます。
トリプトファンは、脳に運ばれるとセロトニンやメラトニンをつくる材料となります。
また、セロトニンを体内で作るには、トリプトファンと一緒にビタミンB6が必要です。
食事をするときは、よく噛んで食べます。この噛むという動きもリズム運動になります。
- トリプトファンを多く含む食材・・・肉類、乳製品、大豆、魚類、ナッツ類、そば、白米など
- ビタミンB6を含む食材・・・赤身の魚、肉類、大豆、果物、ニンニクなど
3-2-4.首のストレッチ
首のストレッチでセロトニンを作るほうせん核を刺激して、セロトニンの分泌を助けます。
呼吸に合わせて首の左右・前後ストレッチを行います。
- 首の左右ストレッチ
肩の力を抜きます。右手を使って右真横に倒します。左肩が上がらないように注意します。
反対側も同様に行ってください。 - 首の前後ストレッチ
肩の力を抜きます。頭部の後ろで両手を組みます。アゴを胸につけるようにして下げます。体が前かがみにならないように注意してください。
次は両手を下げてアゴを引き上げて伸ばします。後ろに倒しすぎると頸椎に負担がかかるので注意してください。 - 注意点
いずれも腕に力を込めずにゆっくりと呼吸に合わせて行います。首に強く負担がかからないようにやさしく行ってください。痛みがあるときは無理に行わないようにしましょう。
セロトニンが低下するために起こる不調には早起きとリズム運動、トリプトファンとビタミンB6の多い食事、首のストレッチで対応します。
4.自律神経の乱れで起こる不調
4-1.自律神経の乱れで起こる症状
自律神経とは交感神経と副交感神経の二つの神経系によってできています。
交感神経は体を活発にさせる時に働く神経で、副交感神経は体を休めている時に働く神経です。
生理前にはこの自律神経の働きのバランスが崩れ、どちらかの神経が優位になりがちです。
4-1-1.頭痛
頭から背中にかけての筋肉が緊張し、血管が収縮して頭痛になりやすくなります。
4-1-2.肩こり
交感神経系が緊張して血の巡りが悪くなり肩こりや頭痛を引き起こします。
4-1-3.冷え、疲れ
自律神経のバランスが乱れていると、体温の調節する機能が鈍くなってしまい、体が冷えやすくなります。冷えが起こると疲れが抜けなくなります。
4-1-5.憂うつ、イライラ
体に冷えの症状が出るのに合わせて憂うつ、疲れる、だるい、イライラする等の症状が現れるようになります。
4-2.自律神経が乱れたときの対策
交感神経系が緊張して、血の巡りが悪くなっている場合は、リラックスして自律神経のバランスを整えます。
4-2-1.入浴
お風呂で体を温めて血液の循環を改善し、全身の血流を良くしていきます。また、お風呂にアロマオイルを加えて香りを楽しみながらリラックスします。
4-2-2.ツボ押し
自分でツボを押すことでも自律神経を調整することができます。
イライラなどの症状を緩和するツボをご紹介します。
イライラ・・・神庭、曲池、労宮
気力低下・・・天柱、風池、足三里、太谿
4-2-3.ハーブティー
自律神経の働きを整えるハーブもあります。
ハーブティーでリラックスしながら香りと味を楽しみます。
- ジャーマンカモミールティー・・・自律神経の安定や不安、緊張を和らげる効果があります。
- ジャスミンティー・・・自律神経の緊張の緩和やリラックスなどの効果があります。
- パッションフラワーティー・・・神経の緊張や不安を和らげる効果がありあます。
4-3-4.漢方薬
漢方では、気・血・水の巡りを整えることで女性ホルモンや自律神経のバランスを整えます。
- 加味逍遥散(かみしょうようさん)…不眠、イライラ、肩こり、頭痛の症状に効果があります。
- 通導散(つうどうさん)…不安、不眠、便秘、月経不順の症状に効果があります。
- 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)…顔色が悪い、冷え症で疲れやすい、神経症の症状に効果があります。
自律神経の乱れで起こる不調にはリラックスするための入浴、ツボ押し、ハーブティー、漢方薬がオススメです。
5.女性ホルモンの乱れで起こる不調
5-1.女性ホルモンの乱れで起こる症状
生理前は、妊娠に向けて体の状態を整えていく期間です。
女性ホルモンのひとつである黄体ホルモンによって子宮が妊娠の準備をしています。
それに伴って感受性の高い人は不調な症状が現われてきます。
5-1-1.胸が張る
排卵期後から胸の張りや胸の痛みなどの症状が現れます。これは、黄体ホルモンが乳腺の発達を促すからです。乳腺内の血管が広がり、乳腺組織が増えることによって胸が張りや痛みを感じやすくなります。
5-1-2.むくみ
生理前は妊娠に向け黄体ホルモンが多く分泌されます。体内に塩分や水分を溜めこむ働きがあるためむくみやすくなります。冷えやストレス、不規則な生活が重なると血行不良になり、むくみが悪化してしまうこともあります。
5-1-3.腹痛
生理前はプロスタグランジンとういう子宮を収縮させる物質が分泌されます。分泌量が増えると子宮の収縮が強まります。子宮以外にも胃や腸にも影響を与えて腹痛や下痢になりやすくなります。
5-1-4.肌荒れ
卵胞ホルモンが多くなるときは肌のバリアや潤いがありますが、生理前は卵胞ホルモンが減少して肌が乾燥しやすくなります。
生理前は黄体ホルモンが増えて皮脂の分泌を促します。そのため、肌が脂っぽくなりますが、肌の保水する力も低下していて角質も固くなりニキビが出来やすくなります。
5-1-5.眠気
生理前に急激に眠気が襲ってくることがあります。これは黄体ホルモンから分解してできるアロプロゲステロンには強い催眠効果があるからです。そのため強い眠気の症状が出やすくなります。
5-1-5.微熱
排卵後に基礎体温が少し高くなります。黄体ホルモンが妊娠しやすい環境をつくろうとしているからです。体温の変化は毎日の基礎体温を計ることで分かります。低温期と高温期の基礎体温の差は0.3~0.5度くらいの違いがあります。
5-2.女性ホルモンが乱れたときの対策
胸の張り、むくみ、腹痛、肌荒れ、微熱などの症状は女性ホルモンのバランスの変化から起こります。
ここでは女性ホルモンの働きを活性化するための対策をご紹介します。
合わせて「自律神経が乱れたときの対策」や「セロトニンが低下したときの対策」をしっかりと行うことで女性ホルモンの乱れが緩和できます。
5-2-1.食事
- 女性ホルモンを活性化するための食品を取るようにします。
たんぱく質、大豆製品 - 血液や子宮内膜に必要な成分を取るようにします。
鉄、カルシウム、マグネシウム - むくみによい食品を取るようにします。
カリウムを含むいも類、野菜類、きのこ類 - デトックスなど腸を活発にするための食品を取るようにします。
食物繊維、発酵食品 - 肌に潤いを与えて肌荒れをなくす食事を取るようにします。
ビタミンC、鉄、たんぱく質、コラーゲン
5-2-2.睡眠
女性ホルモンを安定して分泌させるためには睡眠が欠かせません。
ココロとカラダをリラックスさせて、質の良い睡眠をとるための環境作りをします。
アロマオイルはリラックス効果があり、寝ているときも脳が香りを感じるため、深い眠りになりやすいです。
寝る前にアロマオイルをハンカチやティッシュなどに数滴垂らして、枕元に置きます。
- ラベンダー
さわやかでフローラルなリラックスできる香りです。
神経の緊張を和らげたり、安眠などの効果があります。 - ネロリ
甘さと苦みを持つオレンジの花の香りです
ストレス疲れやうつ状態を緩和する効果があります。 - ゼラニウム
ローズのような甘さのフローラルな香りです。
情緒不安定と時など心のバランスを取ってくれる効果があります。
5-2-3.運動
運動不足になると、自律神経が乱れてしまって女性ホルモンの働きも悪くなってしまいます。毎日、ウォーキングやストレッチを行うようにします。
5-2-4.温め
冷えは女性ホルモンのバランスを崩してしまいます。夏も冬もカラダを温めるケアをします。入浴時に体を温めて血行をよくしていきます。
- 夏
冷房が効いている場所にいると体が冷えてしまいます。腹巻をしたり、温かい飲み物を飲んだりと体を冷やさないようにします。 - 冬
カイロや湯たんぽなどで体を温めたり、生姜の入った飲み物で温めたりします。
女性ホルモンの乱れで起こる不調には女性ホルモンを活性化させる食事、十分な睡眠、体を冷やさないことで対応します。
まとめ
生理前の不調の原因を3つに分けて、緩和する方法をご紹介しました。
当てはまる部分を見つけたら、その対処方法を試してみてください。