いつまでも素肌のうるおいを守っていたいものですね。
うるおいを保つためになくてはならないのが肌のバリア機能です。
空気が乾燥してくると、肌から水分が蒸発しやすくなりますが、例えば砂漠のような環境でも肌から水分が完全に失われないのは、表皮のバリア機能があるおかげです。
肌には水分が逃げていかないように特別な仕組みがあります。詳しく見ていきましょう。
1.肌のバリア機能
バリア機能があるのは皮膚の外側の表皮のところです。
1-1.表皮の構造と働き
表皮は4つの層に分けられています。
角層バリア
このうち上から一つ目の角層に角層バリアがあります。
表皮のなかでも一番外側にある角層はその厚さが0.01~0.03mmほどしかなく、このラップ1枚ほどの厚みのなかに、角質細胞が10~20層もあって水分が外に逃げ出すのを防いだり、外から異物が侵入しないようにしています。その角質細胞のまわりにあるのが角質細胞間脂質でセラミドや脂肪酸からできていて、角質細胞同士のすきまを埋めながら強い力で水分を保持しています。
タイトジャンクションバリア
二つ目の層の顆粒層にタイトジャンクションバリアがあります。
タイトジャンクションは細胞同士をぴったりと隙間なくくっつけることで第二のバリアをつくっています。
タイトジャンクションはもとのと血管や腸管などで発見されたもので、液が透過したり、異物が侵入しないように細胞同士をシールしている構造のことです。
1-2.乾燥した肌
バリア機能の重要性について見ていきます。
私たちが体に水分を閉じ込めておけるのは表皮のバリア機能のおかげです。
バリア機能が低下してくるとどういったことが起こるのでしょうか。
角層がめくれあがると、バリア機能が弱まり隙間から異物が侵入しやすく、水分も逃げやすいお肌となります。異物が入ることで肌が炎症を起こしたり、免疫細胞が反応してかゆくなったりします。
角層がめくれ上がってしまうのは皮脂の分泌が減って皮脂膜が作られなかったり、細胞間脂質が減少することで起こります。
外気が乾燥するだけでも角層の水分は減少していきますから、外気の影響を最も受けるのは一番外側にある角層です。
この角層のバリア機能を維持していくためには、角層の下の層の状態がよいことが大切です。第二のバリアであるタイトジャンクションのある顆粒層、その下の有棘層、基底層、さらには真皮がきちんと機能している必要があります。
1-3.バリア機能が低くなる原因
バリア機能が低くなる原因は、乾燥や入浴、ホルモンバランスの乱れ、加齢、紫外線などによるものです。
外気の乾燥
空気が乾燥することで、普段よりもより多くの水分が肌から蒸発しようとします。冬場の乾燥やエアコンの風が直接当たるなどで、肌がかさかさしやすくなります。
入浴
入浴によって体を洗うことや熱めのお湯に浸かることで角質の細胞間脂質や皮脂膜が流されて、肌が乾燥しやすくなります。
生理周期
生理前になるとフェイスラインや額など部分的に肌が乾燥することがあります。
ストレスや睡眠不足によってもホルモンバランスが乱れて肌が乾燥することがあります。
加齢
年齢を重ねると肌の水分を保持しているヒアルロン酸やコラーゲン、細胞間脂質のセラミドが減少することがわかっています。繊維芽細胞の働きも鈍くなってくるので、新しく入れ替えるスピードが鈍化していきます。
こすること
肌をこすったり、掻いたりすることでも角質をはがしやすくしてしまいます。
花粉の季節などで目のまわりを触ったり、タオルでこすることも角質をはがす原因となります。
紫外線
紫外線は角質層にあるケラチンや真皮にあるたんぱく質にダメージを与えてたんぱく質をカルボニル化することがわかっています。カルボニル化されたたんぱく質が皮膚に増えると肌の水分量が減ったり、蒸散量が増えたり、肌が黄色くくすむことがわかっています。
1-4.肌を乾燥から守る方法
肌のバリア機能を補うためには、肌の外からアプローチする方法と肌の内側からアプローチする方法があります。
外側から補う
基礎化粧品で肌の表皮を覆って、保水性のあるヒアルロン酸やコラーゲンなどで肌の表面の水分を維持させるのが外側から行う保湿方法です。
そのときに肌表面のうるおいを封じ込ませるためにセラミドを配合したクリームなどを塗ってさらに保湿力を高めます。
内側から補う
肌の内側から保湿する場合は、コラーゲンやヒアルロン酸、セラミドの配合されたサプリメントを飲んで、肌の水分量やセラミド、皮脂を増やします。
- コラーゲン・・・皮脂膜の形成、コラーゲンの産生
- ヒアルロン酸・・・肌の水分量の保持
- セラミド・・・肌から余分な水分の蒸発を防ぐ
基礎化粧品と違って効果を実感するまでに日数がかかりますが、自身の肌の力で保湿ができるため、化粧品に頼らなくてもうるおいを保てるようになります。
まとめ
肌のバリア機能についてまとめました。
表皮のバリア機能を保つには、基底層や真皮層の働きが正常でなくてはなりません。
肌の内側からアプローチすることが、継続的なバリア機能の向上につながります。