思春期ニキビのおもな原因は、体内のホルモンバランスの乱れによるものです。そして、成人を迎えたあたりでホルモンバランスが整ってくると、自然に治癒に向かいます。
ところが、成人後に突然ニキビが出来やすくなることもあり、それは普段の生活習慣の中に問題が潜んでいると考えられます。
たとえば、喫煙がそれに当たります。
ではなぜ、喫煙習慣がニキビを作り出す原因になるのでしょうか？
１．タバコとニキビの関係性について
タバコとニキビは大いに関連性があり、それには以下の理由が挙げられます。
１-１．活性酸素の発生によるビタミンCの破壊
ご存じの通り、ビタミン類には体調を整える働きがありますが、とりわけビタミンCには抗酸化作用があるため、体内量が減少してしまった場合には、肌荒れが起こりやすくなります。そして、ビタミンCは体内に貯蔵しておくことができないため、こまめに摂取して行く必要があります。ですが、タバコには過酸化水素が含まれており、喫煙が習慣化している方の場合では、摂取したビタミンCが過酸化水素によって破壊されてしまいますので、ビタミンCが体内でその役割を果たすことができません。
タバコは一服吸うごとに体内に過酸化水素を取り入れることになり、体内の活性酸素の量が増えます。
ニキビの改善には、ビタミンCを積極的に摂取することが理想的であるとされていますので、ニキビをいち早く改善したいのであれば、喫煙本数を減らすところから始めてみると良いでしょう。
１-２．ニコチンやタールが胃腸に与えるダメージ
タバコは、一服するごとに過酸化水素とともに、タールやニコチンを体内に取り入れることになります。そして、タールやニコチンは胃腸の末梢血管を収縮させ、血流を滞らせる原因を作り出します。すると、本来であれば保護されるはずの胃粘膜が、必要な栄養素を受け取ることができなくなるために弱り、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を引き起こす原因になります。
さらに、ニコチンやタールが腸内へ到達すると、悪戯に腸壁を刺激することになり、過敏性腸症候群などの病気を引き起こす原因になることがあります。
ニコチンやタールが胃腸に悪影響を及ぼすと、食物の吸収力が落ちるだけではなく、腸内の悪玉菌が増殖してしまう可能性も出てきます。
そして、胃腸の危険を示すシグナルとして現れてくるのがニキビであるということです。
また、このようにして胃腸の機能が弱ってしまうと、ニキビだけではなく、お肌のザラつきやカサつきが目立ってくることもあります。
２．出来てしまったニキビのケア方法
成人後にできる大人ニキビは、ひとたび出来始めると、いったんは治ったように見えても再発しやすいという特徴を持ち、適切なケアを行わない限り何度でも繰り返す可能性があります。
では、出来てしまった大人ニキビに対しては、どのようにケアを行って行くべきなのでしょうか。
２-１．ニキビには触らない
ニキビ部分が気になったとしても触らないことです。これは思春期ニキビと同様で、不用意にニキビを触り続けていると、ニキビを刺激するだけではなく、指に付着した雑菌により、ニキビが悪化する恐れがあるからです。
そして、初めは目立たないレベルであったとしても、赤ニキビや黄ニキビにまで発展してしまうと、ニキビの内部に芯ができ、やがて膿を持つようになります。
こうなってしまうと、ニキビそのものはなんとか治すことができても、ニキビ跡が残ってしまう可能性が広がります。
そうなってしまわないためにも、ニキビに気が付いても、気にし過ぎて触ってしまわないこと、これが大切です。
大人ニキビは刺激してしまわない限り、思春期ニキビのように急激に悪化することはほぼありません。
２-２．睡眠をきちんととる
そしてもうひとつ、睡眠時間にも注意を払ってみて下さい。
あなたは現在、1日6時間以上の睡眠をきちんととっていますか？
睡眠時間が不足すると、睡眠中に脳から分泌される成長ホルモンの分泌量が減り、身体全体に代謝不良が起こることがあります。
すると、出来ているニキビの治りが遅くなるだけではなく、自律神経系統にも不具合が生じることがあり、年齢的には若くても更年期障害のような症状が現れることもあります。
さらに、自律神経系統の不具合によって女性ホルモンのバランスが崩れ、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が増えてしまった場合では、毛穴からの皮脂分泌が多くなって新たなニキビを呼び込んでしまうことも考えられます。
ニキビを出来るだけ早く治したいのであれば、睡眠時間にも十分な注意を払いましょう。
２-３．毎日のスキンケア
普段のスキンケアにも目を向けてみましょう。
タバコによって体内の活性酸素が増えると、身体全体に血行不良が起こりやすくなり、栄養分を十分に受け取ることができなくなったお肌は、自然に乾燥肌へと傾いて行きます。
お肌が乾燥すると、現在出来ているニキビとその周辺組織に角化が起こり、お肌のザラつきやカサつきがますます悪化することになります。お肌に角化が起こっているようであれば、ニキビ部分を刺激しなうように注意しながら、週2回程度のピーリングを行い、その後はビタミンC誘導体配合の化粧水でしっかりと保湿を行ってみて下さい。
また、セラミドやフラーレンなどの美容成分も、乾燥肌や角化の改善におすすめできる成分ですので、ビタミンC誘導体と同時に使用してみると良いでしょう。
この方法でスキンケアを行って行けば、ニキビの悪化やニキビ跡を予防することができますが、万が一ニキビ跡が残ってしまったのであれば、美容クリニックなどでの専門的な治療も視野に入れる必要性が出てきます。
美容クリニックでは、ケミカルピーリング、レーザー治療、サーマクールなどでニキビ跡治療を行うことができます。また、美容クリニックによっては、ニキビやニキビ跡の改善に役立つドクターズコスメを取り扱っていることもありますので、ご自身でケアしきれないと感じたのであれば、美容クリニックに相談してみるというのもひとつの方法です。
３．ニキビを防ぐために
現在できているニキビの原因がタバコである可能性が高いのであれば、思い切って禁煙するのがいちばんの方法です。
３-１．本数を減らす
ですが、喫煙が習慣化しているのであれば、禁煙は少々ハードルが高いのではないかと思います。そのようなときには、1日の喫煙本数を極力減らして行く努力を行ってみましょう。
完全に禁煙したいのであれば禁煙外来での治療が最もおすすめできる方法ですが、そうでないのであれば、タバコを吸いたくなったらガムを噛んでみるなどの工夫を行ってみましょう。
また、外出先でのタバコの本数が多いと感じているのであれば、その際に吸っても良いタバコの本数をご自身で決めて、余分な本数は持ち歩かないというのもひとつの方法です。
特にヘビースモーカーの場合では、タバコの本数を減らすこと自体が苦しいかもしれませんが、ニキビを早く治し、再発予防対策を行うのであれば、少々の我慢は必須です。
３-２．ビタミンｃを摂る
そして、上記ではビタミンC誘導体配合の化粧水での保湿ケアをおすすめしていますが、それと同時に、努めてビタミンCを摂取します。
喫煙本数が多いままでビタミンCを摂取しても、タバコによってその成分はどんどん破壊されてしいます。ですが、タバコの本数を減らした上でビタミンCを摂取するのであれば、ビタミンCの体内残留量が増えると考えられ、これがうまく体内に吸収されれば、ニキビの改善や再発予防につながります。
ビタミンCは、イチゴ、キウイフルーツ、アセロラなどをはじめとする果物、サツマイモ、ブロッコリーなどに多く含まれていますので、これらの食品をなるべく摂取することを心がけてみましょう。毎日これらの食品を摂取することが難しいのであれば、ビタミンCサプリを摂取してみるという方法もあります。
３-３．乳酸菌を増やす
また、タバコは腸内環境を悪化させますので、この状態を改善するためには、食物繊維や乳酸菌の摂取が必要です。
食物繊維は、海藻類、コンニャク、イモ類、根菜類に多く含まれていますし、乳酸菌はヨーグルトや乳酸菌飲料、発酵食品に多く含まれています。これらの食品は、どれをとっても比較的容易に摂取することができますので、ビタミンCとともに積極的に摂取することを心がけてみて下さい。
タバコによって出来てしまったニキビは、一朝一夕に改善することはできません。
タバコの本数を減らして行くことにより、徐々に体内の活性酸素量が減り、細胞の代謝機能も早い段階で回復することができるでしょう。
タバコはニキビを作り出す原因になるだけではなく、その他の病気を引き起こす原因になりますので、できれば禁煙、それが難しいのであれば、極力本数を減らす努力を行ってみて下さいね！
まとめ
タバコは、体内の活性酸素を増やし、せっかく摂取したビタミンCをことごとく破壊する元凶となります。
タバコを吸い始めてからのニキビが気になるというのであれば、まずはタバコの本数を減らす努力をすることから始めてみましょう。
その上で、ビタミンCの摂取、ビタミンC誘導体やセラミド、フラーレンなどの美容成分での保湿ケア、睡眠時間の確保を心がけてみてください。
